相続財産に金や純金がある場合【相続税評価を方法等を解説】

ゴールドバー

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

資産運用であったり、個人の観賞用として「金」(ゴールドの方です。)をお持ちの方もいらっしゃいます。金や純金は相続税の課税対象ですから、被相続人の財産にこれらが含まれている場合は、評価額を計算し、申告と納付をします

もし、申告しなかった場合、税務調査が入れば、無申告加算税や過少申告加算税などのペナルティが課されます。さらに、悪質な所得隠しだと判断された場合は、加算税の中では最も重い重加算税を負担することになりますので注意しましょう
 

【相続税の課税対象となる金の種類】

金といっても、様々なものがあります。

わかりやすい例は、金の延べ棒(ゴールドバー)です。他にも金貨や、金の像、金印などがあります。

これらは、金の製造業者や、貴金属を取り扱う店舗で購入できますが、全てが相続税の課税対象です

どのような形のものであっても、金でできているものであれば相続税の課税対象に含まれることを覚えておきましょう。
 

【金の相続税評価】

金の相続税評価額の計算方法は、下記の通りです。

金の相続税評価額 = 相続開始日の業者買取価格(税込) × 保有g数

 
金地金の買取価格は1gあたりの金額で公表されているので、その買取価格は、単価に金の重量を掛けた金額となります。(ここで言う買取価格とは「業者買取価格」であって、業者が一般消費者に売るときの小売価格ではありません。)

例えば、被相続人が金を700g持っていて、亡くなった日の業者の買取価格が税込で6,000円ならば、6,000円✕700g=420万円が相続税評価額となります。

買取価格は金買取を専門とする業者のホームページを参考にするか、実際に金買取業者に査定してもらいましょう。なお、金のジュエリー等は質屋や買い取り業者に直接査定をしてもらう方が良いでしょう。

金には特定の業者名が刻印されている場合がありますが、必ずしもその業者の相場を採用しないといけないという制限はありません。納税者が自由に買取業者を選択して構いません。
 

【仏像仏具であっても金は課税対象】

仏像や仏具などは「祭祀財産」と言って、相続税がかかりません

祭祀とは、神や祖先を祀ることで、その祭祀に関する財産のことを祭祀財産と言います。祖先を祀るもしくは礼拝用に供されるためのもので、仏壇や仏像、神棚、位牌等があります。(基本的に祭祀に必要であるもの全てが当てはまります。)

 

ただし、祭祀財産として日常の礼拝に使っていたとしても、「投資対象となるもの」は相続税の課税対象となります

純金製の高価な仏壇や仏像などは、祭祀財産としては社会通念上認められない金額であり、ほとんどの場合、課税対象となります。
 

【金は必ず税務署にバレる】

金は預金や不動産などと違って、税務署にバレにくいと思っている方は要注意です。

金は価値が高いことから、しばしば脱税の道具にもされるので、税務署も丹念な調査を実施しています。購入者の名前や住所は把握されていると思った方がよいでしょう。

以下は金の所有がバレる理由です。

(1)購入時にバレる

現在では、法律により、金の購入時に本人確認をすることとそれを記録することが業者に義務付けられました。

取引記録の法定保存期間は7年なので、税務署が金の販売業者に対して調査を行えば、購入の事実が明るみに出ます。

(2)売却時にバレる

取引価格が200万円を超える金地金や金貨の売買が行われると、取引業者から税務署に支払調書と呼ばれる書類が提出されます。

そのため、支払調書をたどっていけば、売買した関係者がバレることになります。

また、200万円以下の取引であっても業者は「古物営業法」の規定に準じて本人確認およびその記録をしているので、支払調書が提出されずとも、記録は残ります。

よって、相続において金の所有を上手く隠せたとしても、その金を売却する際にバレることになります。
 

【税務調査があれば隠せない】

税務署は、被相続人および相続人のすべての金融機関の履歴を調べます。よって、相続税の申告内容が怪しいと思ったら、毎月のお金の流れを細かくチェックし、使途不明金の詳細を調べます。

申告書に記載がないような入出金があることが分かれば、税務調査が行われます。

税務署は自宅に保管されているものであっても、ある程度の予測を立てて調査を行っていますので、大体のことは明確になります。

そのため、もし金や純金が相続財産にある場合は、必ず評価額を算出し、財産総額が基礎控除を超えるのであれば、相続税申告をしっかりと行いましょう。繰り返しになりますが、財産を不当に隠すと厳しいペナルティが課せられます。
 

【相続税の申告や節税のご相談は古川会計事務所・八王子相続サポートセンターまで】

相続税についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。