こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
せっかく遺言書を書いても、受遺者が先に亡くなってしまうことがあります。亡くなった方自身は相続が行えない(財産を取得できない)ので、無効になってしまいます。
このような場合、無効の部分について遺言を書き換えることで対応できますが、その時点で遺言者が遺言能力を無くしていると書き換えが不可能になってしまいます。また、遺言書を作り変えるのも、中々に手間がかかります。特に公正証書遺言の場合は、公証役場に再び出向かなくてはなりません。
そこで活用できるのが、予備的遺言です。
予備的遺言は、万が一遺言者より先に受遺者(相続人)が死亡しても、代襲相続人である子供に相続させることが可能なのです。
【受遺者が先に亡くなるとどうなるか】
相続人となる予定の人が被相続人よりも先に亡くなられるケースはあります。もし、遺言書があって受遺者に指定されていても、先に亡くなってしまっては遺贈の効力は生じません。
受遺者が取得するはずだった財産は他の相続人に帰属することになります。
例えば、Aさんが「息子のBに100万円を相続させる」といった遺言をのこしたとします。Aさんが亡くなった後の法定相続人はBさん、Cさん、Dさんと3人いる状況で、もしBさんがAさんよりも先に亡くなった場合、遺言書で指定された代襲相続人(※)であるBさんの子供に相続されません。
100万円はBさんの子供とCさん、Dさんと法定相続人全員で遺産分割協議で分割を話し合うことになります。要するに、Bさんに遺贈するという部分が無効になるわけです。
受遺者に代襲相続人がいても、遺贈は行われないということが大きなポイントです。
※代襲相続とは相続発生前に相続人が死亡していたり、相続権を失った場合に、その子供や孫が相続権を受け継ぐことです。
【予備的遺言とは】
遺言書が書かれてから実際に執行されるまでにはタイムラグがあるので、場合によっては受遺者死亡などの予想外の出来事が生じることもあります。特に受遺者が高齢であったり、重い病気を患っている場合にはその可能性も高くなるでしょう。
そのような状況を見越して、遺言には受遺者が死んだ場合の代わりの受遺者を指定することもできます。この方法は「予備的遺言」といわれます。
予備的遺言を書いておけば、受遺者が死んだときに遺言書を書き直す必要もなくなります。
【予備的遺言の活用法】
予備的遺言の例としては、
『全財産を息子のAに相続させる。”ただし、私と同時もしくは私より先にAが死亡した場合には、Aの子供に相続させる。”』という形式で書けばOKです。
予備的遺言をすることにより、受遺者が先に死亡してもわざわざ遺言書を書き直す必要がありません。認知症を患っている等、状況的に遺言書を書き直せなくなることが予想される場合は、是非やっておくべきでしょう。
その他、高齢の配偶者や兄弟など、相続人に高齢者が多く、どちらが先に亡くなるか分からない場合も、予備的遺言は大いに活用できます。
【遺言書作成のご相談】
相続についてのお悩みや遺言書作成のご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。