こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
遺族に確実に遺言者を残す方法として、多く利用されている「公正証書遺言」。この公正証書遺言には作成の際に2名の証人が必要になりますが、誰でもなれるわけではありません。
では、どんな方が証人になれないのか、本記事で解説いたします。
【公正証書遺言とは】
公正証書遺言とは、以下の特徴を持つ遺言書です。
- ・2名の証人の立会いが必要
- ・公証役場で内容を公証人と打ち合わせの上、公証人が代理で作成
- ・遺言書の原本は公証役場で保管される
- ・遺言書の作成費用が発生する
自筆で作成する自筆証書遺言とは違い、公正証書遺言は公証役場で公証人に代理で作成をしてもらいます。事前に公証人と内容を確認・検討した上で作成されるので、内容や形式不備によって遺言書が無効となるリスクはありません。同時に相続開始後に家庭裁判所での遺言の検認作業も不要となります。
また、原本が公証役場で保管されるので、紛失したり、第三者に内容を改ざんされる心配もありません。このような点から、公正証書遺言は遺言書を遺族に確実に渡す方法として最も優れています。
ただし、公証人との打ち合わせや証人の用意など作成の手間はかかってしまいます。諸々の手続きは公証役場で行わなければならないので(出張サービスなどは行っていません)、体が不自由な方には負担となる可能性もあります。
加えて、作成費用がかかることや、公証人と証人に遺言内容を公表しないといけない点もあります。良いことばかりでなく、これらのデメリットがあることも覚えておきましょう。
【公正証書遺言の作成には証人が必要】
先ほど述べたように、公正証書遺言の作成には「2名以上の証人」が必要です。
この証人は誰でもなれるわけではありません。民法974条では証人の欠格事由が定められていて、それに該当する方は証人として認められないのです。
証人及び立会人の欠格事由に該当する方は以下の通りです。
・未成年者
・推定相続人や受遺者、またはこれらの配偶者や直系血族
・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
もし上記に該当する方が証人として立ち会った場合、その公正証書遺言は無効になってしまいます。そのため、証人の選定は公証人とよく相談した上で慎重に決めましょう。
適切な証人がいない場合には、公証役場に相談することで人材を紹介してもらうことも可能です。証人への日当は発生しますが、利用するのも良いでしょう。
【証人は遺言執行者と同じでもOK】
遺言執行者とは、遺言者の死後に遺言書の内容に従って遺産分割の手続きをする人です。遺言者本人が指定するか、相続開始後に家庭裁判所によって選任してもらうこともできます。
この遺言執行者は公正証書遺言の証人と同じでも問題ありません。ただし、遺言執行者にも欠格事由があるので、それに該当しないことが条件となります。
・未成年者
・破産者
遺言執行という法的な手続きを行うので、未成年の方については遺言執行者になることができません。未成年かどうかの判断基準は遺言書作成時点ではなく、遺言者が亡くなった時です。遺言書作成日の年齢が18歳でも、遺言者が亡くなった時に成人となっていれば大丈夫です。
破産者は他人の財産を取り扱う信用がないので遺言執行者になれません。なお、破産者かどうかの判断も、遺言者が死亡した時になります。
【遺言書の作成や相続手続きのご相談】
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