相続税申告はどれぐらいかかるのか 申告と納付が完了するまでの期間は?

相続スケジュール

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

相続税の申告と納付が完了するまでの期間はどれくらいでしょうか?

相続税の申告ではただ税額を計算して、税務署で手続きをするわけではありません。税額計算をするのにも、相続財産の把握・法定相続人の確定・遺産分割の決定等々をしなくてはなりません。

これら一つ一つの手続きはすぐに完了するものでもありません。また、相続手続きでは相続税申告以外にもやるべきことが多いので、全てがスムーズにいったとしても、およそ半年以上はかかると思った方が良いでしょう。

【相続税の申告期限】

相続税申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。

期限を過ぎた場合、相続税に加えて無申告加算税や延滞税を納めなければなりません。さらに財産の隠蔽や虚偽の申告など悪質だと判断された場合は重加算税という重いペナルティが課せられます。

また、申告期限と納税期限は同じなので、納税が遅れれば延滞税も生じます。

なお、大幅な減額が期待できる「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額の軽減」などが適用される特例制度は期限内申告が前提となります。申告・納税は必ず期限内に済ませましょう。

【準確定申告にも注意】

準確定申告とは、故人が生前の一定期間に所得を得ていた場合、その額に応じて遺族が税金の申告と納付をすることです。要するに故人の未申告の所得税を相続人が代理で申告するのです。

準確定申告の期限は、相続開始日から4カ月以内となっており、相続税申告よりも期限が早くなっています。申告が必要なのに期限を過ぎてしまった場合は、こちらも加算税(無申告加算税)が課されます。また、税金納付も遅れた日数に応じて延滞税が課されるのも同様ですから、被相続人が生前に不動産賃貸をしていた場合など、申告すべき所得があるならば、早めに手続きを完了させましょう。

申告は、故人の最後の住所地を管轄する税務署で行います。

【相続税申告に必要なプロセス】

(1)財産調査

相続税申告には正確な税額計算が求められます。それには財産の全容を明らかにした上で、不動産や株式などの財産を正しく評価しなければなりません。

この財産調査は状況によって時間のかかり具合が全く異なります。

預貯金については、被相続人がどの金融機関を利用していたかすぐにわかる、利用口座も少なければ良いですが、人によっては海外の口座を利用している場合もあります。

不動産に関しても、自宅だけなら良いですが、遠方の地に別荘や畑を有している場合もあります。

そうなれば、不動産情報を手に入れて評価をしていくのに時間がかかってしまいます。

なお、財産調査は遺産をそのまま引き継ぐ「単純承認」、相続権を手放す「相続放棄」、相続で得られる財産を限度として債務を引き継ぐ「限定承認」を選択する上で重要になります。

相続放棄や限定承認を選択したい場合は、家庭裁判所へ3ヵ月以内に申し立てしなければなりません。よって、財産調査は早期に完了しておく必要があります。

(2)相続人確定

相続人の確定は、遺産分割においても相続税申告においても重要です。

まず、遺産分割では、すべての相続人を確定した上で行います。遺産分割協議では相続人全員で話し合い、同意を取らなければならないので、一人でも欠けていると協議結果が無効となるのです。

そして、相続人の数は相続税計算に不可欠な基礎控除に影響しますから、早めに確定しておかなくてはなりません。基礎控除は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算できます。

相続人は自己申告ではなく、戸籍を使って証明します。戸籍は、被相続人が死亡してから原則として出生まですべて遡り、除籍謄本や改製原戸籍といった古いものまで取得します。

相続人がすべて判明したら、その方が現在も生きているか、つまり相続人であるかの証明のために相続人自身の「現在の戸籍」も必要となります。

(3)遺産分割

遺言書がない場合、相続財産は協議によって配分内容を決めます。こちらも財産内容や相続人間の関係性によって、完了までの時間が変わります。

なお、遺言があればこの遺産分割協議をしなくて良いので、かなりの時間短縮になります。

協議で分割割合が決まった後は、遺産分割協議書を作成し、すべての法定相続人の自署と原則実印(不動産がある場合は必須)の押印が必要です。

(4)正確な税額計算をする

全ての財産について相続税額を計算します。

相続財産はそれぞれ評価計算が異なります。全ての財産が金銭であれば、計算も楽ですが、不動産や株式がある場合は、相続税に詳しい専門の税理士に依頼していないとスムーズに進みません。

なお、評価計算を間違えてしまうと、申告においてペナルティを被ることになるので、注意です。不安な場合は、やはり税理士に任せてしまう方が良いでしょう。

【相続税申告は時間がかかる】

相続が発生してから申告・納税までの、行わなければならない手続きがたくさんあります。

これらの手続きは一つ一つに時間がかかります

準確定申告や相続税の申告、相続放棄や限定承認の選択には期限が設けられているため、時間をかけすぎてもいけません。必要な手続きを確実に進めていかなければならないのです。

自分だけでは手続きが進まないと感じたら、すぐに税理士に相談してください。

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。