こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
不動産を相続した際は、相続登記の手続きを行って名義を変更します。
この相続登記はしなくても現状でペナルティはありませんが、様々なリスクを考慮するとやっておいて損はありません。
相続登記は申請書や被相続人の戸籍謄本等の必要資料を提出し、「登録免許税」を納付すると完了します。
登録免許税とは、不動産を登記・登録する際に支払う税金で、税額をご自身で計算して納付します。計算方法を間違えて少ない額を納付してしまうと、税務署から不足分を徴収されることもあるので注意しなくてはなりません。
本記事ではこの「登録免許税」について解説いたします。
税額の計算方法や減免措置についても紹介しますので参考にしてください。
【登録免許税とは】
(1)概要
登録免許税とは、不動産を登記・登録するときに課される税金です。登記とは、権利関係などを公にするための制度で、不動産登記は土地や建物の所有者を明確にするための手続きです。
土地や住宅を購入した時、建物を新築した時、相続で不動産を引き継いだ時は不動産登記が必要で、登録免許税の納付義務も生じます。
逆に登録免許税を納付しないと、登記申請は却下されてしまいます。
(2)計算方法
相続登記にかかる登録免許税は以下の数式で算出します。
※登録免許税は100円未満は切り捨て
※不動産の評価額は1,000円未満は切り捨て
不動産の評価額とは「固定資産評価証明書」に記載された価格です。
固定資産評価証明書とは「固定資産課税台帳」に登録されている土地や建物、企業所有の機械や建築物の資産評価額が記載された書類で、当該不動産管轄地区の市区町村で発行できます。
<上記数式での計算例>
不動産の評価額が123万4,560円の建物と、567万8,900円の土地を相続した場合
評価額合計:123万4,000円+567万8,000円=691万2,000円
登録免許税:691万2,000円×0.004=27,648円
100円未満は切り捨てなので、登録免許税は2万7,600円となります。
【減免措置について】
登録免許税には減免措置があります。
- ・相続によって土地を取得する
- ・ある相続人が土地の相続登記をする前に亡くなった後、当該相続人からさらに当該土地を相続すること
- ・登記申請を2021年の3月31日までに行う
- ・申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載すること
上記の要件を満たすと、登録免許税は減免されます。建物は減免の対象外となるので注意しましょう。
また、この減免措置はいわゆる2次相続が前提です。
例えば、土地の登記名義人となっているAさんからBさんが土地を相続し、Bさんが相続登記を行う前に亡くなり、Cさんが土地をBさんから相続した場合に成立します。
AさんからBさんに当該土地が渡った際に必要な登録免許税は免除されることになります。
(BさんからCさんへの移転登記については減免となりません。)
【生前贈与の場合は税額が高くなる】
生前に不動産を贈与した場合、登録免許税は固定資産税評価額に対して2%の課税となるので、相続時よりも税率が高くなってしまいます。
さらに生前贈与の場合、「不動産取得税」という税金もかかります。
不動産取得税とは名前の通り、家や土地を取得した場合にかかる税金のことです。取得した不動産の固定資産税評価額について4%が課税されます。不動産の取得が2021年3月31日以前であれば3%の課税となります。
相続の場合は、不動産取得税はかからないので、2つの税額のみを考えれば、少々損と言えます。
ただし、生前贈与には特例制度もあるので、登録免許税と不動産取得税の税額差だけを見て不利と考えるのも軽薄です。しっかりした節税を考えるのであれば、現在の資産や後の相続状況も踏まえて検討するべきです。
【不動産相続のお悩みや相続手続きに関するご相談】
不動産相続のお悩みや、相続手続きについてのご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。