こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
本記事は前回の続きとなります。
前回で相続登記の義務化の概要や背景、予想される時期について説明いたしました。
今回も引き続き、同問題について説明していきます。
【義務化によって罰則はどうなる】
義務化にあたって、相続登記を適切に行わないことによる罰則が検討されています。
現在の法律では、相続登記(名義変更)をしなかった際の罰則はありません。あるのは、不動産登記で表記を怠った場合に発生する10万円以下の過料のみです。
この過料は行政処分による金銭罰で、比較的処分も軽いものです。
相続登記の義務化については、背景にある問題が重いので、過料よりも重い「罰金」が科せられる可能性が高いと予想されます。
ただし、現時点では協議中のため、結果として過料となるのか罰金となるのか、具体的な金額はいくらかは明確になっていません。
【義務化と並行して検討されている項目】
今回の法改正では、相続登記の義務化以外にも、所有者不明の不動産を増やさないための施策として以下の項目も議論されています。
- ・一定期間内に相続登記をした場合は手続きを簡素化して費用を軽減
- ・一定要件を満たすと土地の所有権放棄を可能とする
- ・早期の遺産分割を促すために遺産分割期限を設定する
このほか、土地の共有制限や財産管理制度を見直すことも検討されています。相続登記がしやすいように、また土地を活用しやすいように様々な議論がされています。
【義務化前であっても相続登記は早めに行う】
相続登記の義務化は、法律の施行後に相続される不動産を対象とし、現在相続登記されていない土地等への適用はないと予想されます。
ただし、不動産を相続した際の相続登記はとても重要です。
もし、行わない場合は以下のようなデメリットが付いてくるからです。
- ・相続した不動産の売却ができない
- ・賃貸物件や駐車場として活用できない
- ・他の相続人に不動産を処分される可能性がある
- ・共同相続人に借金を抱えている人がいると債権者が不動産を差し押さえる
- ・時間が開いてしまうと登記の費用が高くなる
- ・危険な家屋による災害リスク
よって、相続登記が義務化される前でも、不動産を相続した場合はできるだけ早く相続登記をするようお勧めします。
相続登記はご自身でも手続きができますが、わからない場合や時間的に余裕がない場合は専門家に依頼する方が良いでしょう。
特に、何代にもわたって相続登記が行われず、相続人の数が多い場合等は手続き内容も複雑になるので、無理をせず依頼してください。
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