こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
相続では「 遺言書 」がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分割について話し合います。大抵の場合、各相続人の取り分は、「法定相続分」によって決まります。
ただし、遺産分割協議では「同居していた相続人が被相続人の面倒を見ていた」「遺産の中に占める不動産の割合が多く、遺産を平等に分けることが難しい」など、様々な要素によって相続人同士が争う可能性があります。
そのためスムーズに遺産分割を進めるには、やはり遺言書があった方が良いと言えます。遺言書があるからと言って、遺族同士の争いを無くす絶対的な保証はありませんが、相続の手続きはかなり円滑となるでしょう。
遺言書の作成は高齢になられてから検討を始める方が多いですが、できるだけ早めに書いておくべきです。早めに作成しておく方が、色々とメリットを受けられます。
【早期の遺言作成のメリット】
早めに遺言書を作るメリットは以下の二点です。
- ・不測の事態に備える
- ・判断能力があるうちに作成できる
人生では何が起こるか分かりません。突然の急病や、交通事故、自然災害などに巻き込まれて亡くなってしてしまう可能性もあります。
そうなってしまえば、遺言を残すことは一切できません。逆に遺言書を書いていれば、万が一のことが起きても、自分の意思を家族に残せるのです。
また、加齢による認知症や脳の病気等で判断能力が著しく低下してしまった場合、その状態で遺言書を書いても無効となってしまいます。身体の不自由であれば遺言作成をしても問題はないのですが、判断能力がないと遺言は書けないことはとても重要な部分なのです。
遺言書は作成した後で何度でも書き直せます。考えや財産・家族状況が変われば、その時に書き直せばよいのです。様々なリスクを考慮すると、高齢になる前に作成しておいた方が安心と言えます。
【遺言書は何歳で書けるのか】
遺言の作成は民法961条で「15歳」に達すれば可能とされています。
遺言は、可能な限り作成者の最後の意思を尊重しようという制度なので、遺言の意味を理解できる年齢であれば、成人でなくても遺言を作成することができるのです。
海外派遣等、危険な地域で仕事をされる方は、若い年齢でも遺言を残すケースが多いようです。
【遺言にも種類がある】
「じゃあ、早めに遺言書を作ろう」と思った方は、作成の前に遺言書の種類を押さえておきましょう。
遺言書にも様々な種類があり、作成ルールもバラバラです。注意したいのは、それぞれにメリットとデメリットも異なってくることです。
代表的な遺言書として「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の三つがありますが、自筆証書遺言は、お一人で作成可能ですが、形式の不備で無効となったり、保管による問題で紛失する可能性が高いのです。
公正証書遺言は、公正役場で公証人が作成に関与するので不備は起こらず、原本も公正役場で保管してもらうため、紛失や変造といった怖れもありません。
ただし、公証人に依頼するための費用がかかること、証人2人を用意しなければならない手間もあります。
秘密証書遺言は内容を秘密にしたうえで存在のみを公証役場で証明してもらいます。そのため、公正証書遺言と同様に、偽造や改ざんなどを防ぐことができますし、パソコンでの作成も可能です。
しかし、公正証書遺言と同様に、費用が必要、証人2人を用意する手間もかかる上、保管は自身で行うため紛失リスクが高い、公証人による内容の確認もないので無効となる可能性もあるという多くのデメリットがあります。
このように各遺言書にはそれぞれの特性がありますので、それらを理解した上で最適なものを選ぶべきなのです。
※なお、遺言書に指定できる事項は決まっています。こちらも参考にしてください。
【遺言書の書き方や注意点がわからない場合は】
遺言書をいざ書こうと思っても書き方がわからない人が多いでしょう。今ではインターネットで手軽に作成方法を調べることもできますが、本当に合っているのかと不安にかられる方も多いと思います。
そんな場合は、相続専門の税理士に作成を手伝ってもらう方法もあるので、一度ご検討ください。税理士の場合、相続税も熟知しているので、遺言作成の際に、相続税額の算出、土地・家屋の財産調査、節税に関するアドバイスもしてくれるでしょう。
相続が始まった場合の、相続税の申告も代行してもらえるので心強い存在となります。
ただし、全ての税理士が相続に強いわけではありません。税理士と言っても、相続を専門としていない税理士もいるので、ご注意ください。
【遺言書作成や相続手続きに関するご相談】
遺言書作成や相続手続きに関するご相談は、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。