自筆証書遺言保管制度の手続き方法

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

遺言書

今年7月より実施されている「自筆証書遺言の保管制度」は、遺言書を法務局にて保管してもらえる制度です。相続が始まるまで遺言書を失くさなくて済む、第三者に改ざんされる心配もない、家族に遺言内容を見られることもない、等多くのメリットがあります。

今回は同制度の手続き方法について解説いたします。

同制度の概要等については前回の記事で解説していますので、そちらも参考にしてください。

 

【保管申請の具体的手順】

(1)遺言書を作成する

まずは、保管してもらう遺言書を作成します。

注意点は下記の通りです。

  • ・遺言者自身が書いた自筆証書遺言に限られる
  • ・法務省令で定める様式によって作成すること

一般の遺言書と同じく、

  • ・財産目録以外は自書であること
  • ・署名・押印・作成年月日が必須

といった要件は同じですが、法務省令で定める様式では

  • ・A4の任意の用紙を使って作成
  • ・用紙の上下左右に一定の余白を設ける
  • ・数ページになってもホッチキス止めはしない
  • ・各ページにページ番号を記載する
  • ・片面記載
  • ・封筒は不要で、封をしないこと

などの要件があります。

様式不備は担当の事務官によって確認されますが、円滑に手続きを進めるためにも、注意して作成しましょう。

 

(2)管轄の法務局を調べる

手続きおよび遺言書の保管を行う法務局は以下の三つから選択します。

  • ・遺言者の住所地を管轄する法務局
  • ・遺言者の本籍地を管轄する法務局
  • ・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局

全国の法務局が遺言書の保管をしているわけではないので、あらかじめ調べておきましょう。

 

(3)必要書類を準備

  • ・作成した自筆証書遺言
  • ・遺言書の保管申請書
  • ・住民票(本籍の記載があり3か月以内のもの)
  • ・本人確認書類(写真付きの公的身分証)
  • ・手数料(3,900円の収入印紙)

遺言書の保管申請書は法務省HPよりダウンロードできます。必要事項を記入して作成します(パソコンで入力も可能です)。

 
本人確認書類は運転免許証やパスポートで大丈夫ですが、健康保険証など写真のない書類は使用できません。
 

(4)申請の予約をする

申請には事前予約が必須となります。

予約には法務局手続案内予約サービスの専用HPを利用するか、申請する法務局へ直接電話を行います。

 

(5)申請手続きを行う

予約した日程に法務局へ赴き、手続きを行います。

手数料は収入印紙を手数料納付用紙に貼って提出します。ほとんどの法務局では印紙売り場があるので、購入を忘れても大丈夫です。

申請は即日処理されるので、書類に不備がない限り、その日のうちに遺言書の保管証が交付されます。
 

(6)保管証を受け取る

手続が終わると遺言者の氏名・出生の年月日・遺言書保管所の名称・保管番号が記載された「保管証」が交付されるので、持ち帰ります。
 

【手続きを終えた後は】

保管された遺言書は、相続開始まで遺言者しか閲覧することができません。閲覧は法務局内だけとなるので、足を何度も運ぶことが苦痛な場合は、申請前にコピーを残しておく方が良いでしょう。(家族に遺言内容を見られたくない場合はお勧めしません。)

なお、遺言者の住所・氏名・本籍に変更が生じた場合は、届出をする必要があります。変更の届出は、どこの法務局でも可能で、郵送もOKです。
 

【保管の申請の撤回も可能】

遺言書の撤回は、本人が遺言書保管所にて手続きを行えば可能です。

手続きは撤回の申請書を作成した上で、該当する遺言書保管所で行います。手数料は不要で、手続き完了後に遺言書が返還されます。

【遺言書作成や相続手続きに関するご相談】

遺言書作成や相続手続きに関するご相談は、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。