贈与税を払うことは損なのか?

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

贈与税とは相続時を除いて、個人から個人へ金銭や住居などの財産を渡した場合に発生する税金です。(申告と納付義務は受贈者にあります。)

年間110万円までの非課税枠もありますが、贈与税の税率自体は高めに設定されています。そのため「支払えば損」というイメージがあり、「相続税対策には出来るだけ非課税枠の中で生前贈与を行う方が良い」と考える方が一定数います。

これに関しては、全てのケースが当てはまるわけではありません。むしろ、贈与税をあえて支払った方が相続税と合わせたトータルの税額が安くなる場合もあるのです。
 

【贈与税と相続税】

贈与税と相続税の税率は上記の通りです。単純に税率だけを比較すると、贈与税の方が遥かに高いことがわかります。

ただし、『税率が高いからと言って贈与税を払う方が損』ということにはなりません。相続税と贈与税では、前提となる考え方がまったく違うからです。
 

【生前贈与は一括贈与が前提ではない】

相続税と贈与税は、財産を取得した際にかかる点は同じですが、前提条件は異なります。被相続人の死亡後に財産を一括取得するのが相続ですが、生前贈与は財産を小分けにして渡すことが前提であり、そのために年間の非課税枠も設けられているのです。

よって、贈与税が相続税と比較して損か得かという議論は、単純な税率ではなく、贈与ごとの負担率を見なければなりません。

以下は、特例贈与(祖父母や父母などの直系尊属から20歳以上の子どもや孫への贈与等)に該当しない一般の贈与に対する実効税率です。

贈与金額110万円  →税額0万円(実効税率0.0%)

贈与金額200万円  →税額9万円(実効税率4.5%)

贈与金額300万円  →税額19万円(実効税率6.3%)

贈与金額500万円  →税額53万円(実効税率10.6%)

贈与金額1,000万円 →税額231万円(実効税率23.1%)

贈与金額2,000万円 →税額720万円(実効税率36.0%)

贈与金額3,000万円 →税額1,220万円(実効税率40.7%)

贈与金額5,000万円 →税額2,220万円(実効税率44.4%)

贈与金額10,000万円 →税額4,720万円(実効税率47.2%)

 
こうしてみると、小分けされた金額への負担税率はそこまで高くないことがわかると思います。相続税の最低税率は10%ですが、それを超えるのは500万程度の贈与を行った場合です。

つまり、相続時に基礎控除を超えて相続税がかかる場合は、贈与税をある程度支払って財産を移動させた方が得になるケースもあるということになります。
 

【税金を安くするにはケースごとの対応が必要】

前提条件と負担率を考慮すれば、贈与税を支払った方が得になるケースもあるということがわかりました。ただし、相続税の税率も財産額によって変わってくるので、全てのケースに当てはまるわけではありません。

税金を少しでも安くしようと思ったら、相続税率よりも低い贈与税率に相当する金額(分岐点)を算出して、贈与の計画を立てるべきです。

  • ・現状分析(家族構成や所有財産から相続の状況を推測)
  • ・予想される相続税の税率を計算
  • ・贈与金額と現実的な贈与回数を検討

ご自身でシミュレートするのが大変な場合は、専門である税理士に相談することをお勧めいたします。
 

【生前贈与や相続に関するご相談】

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