他の相続人と連絡が取れない場合の対応 【連絡が取れない・行方がわからない等のケース】

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

相続では稀に他の法定相続人と連絡が取れない場合があります。

理由としては、単純に相続人同士の仲が悪く疎遠だからというものや、該当の相続人が行方不明となっているケースもあります。

遺言のない相続では、遺産分配は遺産分割協議で決めなければなりません。よって、相続人に音信不通の方や行方不明者が含まれていると、全員の合意が取れません。

この場合、どのような対応をとればよいのか、本記事で説明いたします。

【法定相続人を確定するには】

まず、相続では法定相続人を確定させなければなりません。法定相続人とは民法で定められた、「被相続人の遺産を相続できる方」です。

法定相続人になれるのは、配偶者と血族です。 血族については、順位が決まっています。先順位が1人でもいる場合、後順位の方は法定相続人になれません。

法定相続人を確定させる作業は重要です。分割協議への参加はもちろん、相続税に係る基礎控除の金額にも影響するからです。

法定相続人を調べるには被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得します。被相続人の出生まで遡ることで、婚姻関係にある配偶者、子供など家族関係が明らかになるからです。

法定相続人となるのは、あくまで戸籍上の関係者のみであり、婚姻関係を結んでいない愛人や、認知していない子供は法定相続人になりません。

戸籍上での相続関係者が判明したら、全員の戸籍謄本も取得します。相続人の戸籍謄本で相続人が生きているかどうかが明確になるからです。その戸籍謄本と供に戸籍の付票も取得すれば、住所が分かり、相手に連絡できます。

【連絡が取れない相続人がいる場合】

故人の財産を分割するためには、相続人全員で協議し、同意を得る必要があります。相続人が一人でも欠けると、その協議は無効です。
よって、相続人の中に行方不明者がいる場合、そのままの状態で遺産を分割することはできません。では、どうすれば良いのか。ケースごとに対応を解説いたします。

(1)連絡が取れない

法定相続人なのに、相続開始後に連絡が取れない親族がいる場合、以下の方法を試してみましょう。

  • ・電話やメールで相続開始の旨を伝える
  • ・電話が繋がらない場合、住んでいる家に行ってみる
  • ・手紙を出す

住所がわからない場合は、前述した戸籍の附票を取り寄せましょう。附票には、本籍地と住民票が登録されている住所が記載されているからです。

(2)連絡しても応答してもらえない場合

連絡に応答してもらえない場合でも、その方を無視して遺産分割協議を進められません。

話し合いに応じないのであれば、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。調停申し立ての後は、家庭裁判所から呼び出し状が送達されるので、家庭裁判所で話し合いを行い、遺産分割協議を成立させます。

もし合意が得られない場合、裁判所が審判を行い、遺産分割内容を決定します。

いきなり調停を申し立てると、トラブルに発展します。他の手続き含めて、穏便に済ませるためにも話し合いの余地があるかどうか確認してからにしましょう。

(3)行方不明の場合

全く連絡が取れず、親族が行方不明となっている場合、「不在者財産管理人」を選任します。不在者財産管理人は、行方不明者に代わって財産を管理する方で、代理で遺産分割協議にも参加できます。

不在者財産管理人選任は、行方不明者の住民票が登録されている場所を管轄する家庭裁判所で行います。不在者財産管理人になれる人は相続において利害関係のない被相続人の親族がなるのが一般的です。

適した人物がいなければ、専門の士業が選ばれることになります。この場合は、報酬が発生します。(費用は不在者の財産から支払われます。)

なお、行方不明者が戻ってきた場合、不在者財産管理人が管理していた財産を受け渡すことになります。

(4)長期間にわたって行方不明の場合

長期的に行方不明な状況であれば、失踪宣告を検討します

失踪宣告は、最後の生存確認から生死が7年間不明な場合、法律上死亡したものとみなす制度です。(家庭裁判所の審判によって決定します。)

失踪宣告がなされると、行方不明の相続人が死亡したものとして遺産分割協議を行うことになる点が不在者財産管理制度と異なります。

不在者財産管理人は、あくまでも相続手続きを進めるためだけに選任します。不在者が現れるまで、管理人はずっといますし、専門家であれば管理財産から報酬を支払う必要もあります。

もし、失踪宣告が認められるとその人は既に亡くなっているとされるので、行方不明者の数次相続人を含めて遺産分割協議をすればいいので、相続手続き上では楽になります。

【相続の相談は八王子相続サポートセンターへ】

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。