亡くなった人の確定申告が必要なケース【準確定申告】

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

準確定申告

亡くなられた方に代わって行う確定申告を「準確定申告」と言います。
相続において、被相続人が生前の一定期間内に所得を得ていた場合、準確定申告が必要となってきます。

本記事ではこの準確定申告がどういったケースに必要となってくるのか解説いたします。
 

【準確定申告とは】

準確定申告とは、被相続人の所得と納税を行う手続きです。被相続人は故人のため、相続人が本人に代わって申告をします。

準確定申告の対象は、1月1日から被相続人が亡くなった日までの所得となります。

ただし、被相続人が3月15日までに死亡かつその前年の確定申告が行われていない場合は、前年分の申告も準確定申告しなければなりません。
 

【準確定申告が必要な場合】

(1)必要な場合

・個人事業主として事業所得を得ていた
・2,000万円を超える給与収入があった
・年金が400万円を超えていた
・副収入(必要経費を除く)として20万円超の収入があった
・2か所以上の会社から給与を受け取っていた
・不動産所得があった
・株や不動産の売却収入があった
・保険金をもらっていた(相続税、贈与税の対象となる場合を除く)

 
上記のような場合、準確定申告が必要です。

期限までに申告をしないと、所得税の税額に加えて加算税や延滞税が課されてしまうので注意してください。
 

(2)した方が良い場合

被相続人の給与や年金から所得税が源泉徴収されていた場合は、準確定申告は不要です。
ただし、以下のような場合は準確定申告をすることで税金の還付が受けられる可能性があります。

・年金や配当金等から源泉徴収された税金が本来の税金よりも高かった
・高額の医療費を負担していて医療費控除を受ける場合

 
還付の申告は必須ではありませんが、何もしなければお金は返ってきません
まとまった金額のお金が返ってくる見込みがあるなら、準確定申告をしましょう。

ただし、準確定申告をして受け取った還付金は相続税の課税対象ということに留意しましょう。
相続税の申告を考えると早めに還付の手続きを済ませる方が良いでしょう。
 

【準確定申告の期限】

準確定申告の期限は、相続人が被相続人の死亡を知った日の翌日から4ヶ月以内です。

相続税の申告期限よりも短いので、十分注意してください。

期日を破ると、本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税が課されます。
 

【準確定申告の手続き】

(1)申告は被相続人住所地管轄の税務署へ

納税の相談に関しては全国の税務署で可能ですが、準確定申告の提出は被相続人の住所地を管轄する税務署で行います。

直接、税務署へ行くのが難しい場合は、郵送での提出も可能です。

準確定申告の場合、e-Taxによる申告はできないことに注意しましょう。
 

(2)相続人全員で行う必要がある

準確定申告の手続きは、相続人全員で行わなければならないので、「確定申告付表」に全相続人が連署する必要があります。

連署を行わず、各相続人が個別での申告も可能ですが、その場合には他の相続人に申告内容を通知します。
 

(3)準確定申告の必要書類は確定申告と同様

確定申告と同様、源泉徴収票、医療費の領収書、生命保険等の控除証明書等が必要です。

そのほか、申告する方のマイナンバーや関係書類、複数相続人の連名で申告する場合は全員のマイナンバー関係書類が必要です。
 

【準確定申告や相続手続きに関するご相談】

相続手続きについてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

アバター画像

投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。