こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
相続が起きた時、建物や土地といった不動産が遺産に含まれるケースも多いですが、その不動産が
- ・老朽化が激しく人が住めない住居
- ・遠方にあり維持が面倒な土地
- ・利用価値がない
という場合もあります。
不動産は資産ですが、20年以上経てば価値がなくなるだけでなく、所有している限り様々なデメリットが生じます。
本記事ではそんな価値のない不動産相続によるデメリットと処理の方法について解説いたします。
是非、参考にしてください。
目次
【価値のない不動産相続によるデメリット】
(1)毎年税金がかかる
不動産は所有している限り、毎年のように固定資産税と都市計画税を支払わなくてはなりません。
・固定資産税
・都市計画税
これらの税金は単年では大したことはないかも知れませんが、5年、10年、20年と経てばどんどん累計税額は増えていきます。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地を所有していた場合は1年間で34万円の税金ですが、10年経つと340万円も支払うはめになります。
また所有している不動産が更地だと非住宅用地となり更に固定資産税が高くなります。
(2)維持費がかかる
不動産の維持には、土地の整備費用や建物の清掃費用、修繕費用等がかかってきます。
また、不法投棄の被害にあった場合の処分費用を負担する可能性も出てきます。
廃棄物の撤去や費用負担義務は当然不法投棄をした本人にありますが、犯人が見つからない場合は各自治体が処分費用を持つ決まりはなく、不法投棄の被害者側が処分費用の負担をするケースが多いのです。
(3)犯罪に利用される場合がある
先述した不法投棄により周辺環境が悪化するリスクの他に、犯罪行為に利用される可能性もあります。
そうなった場合は、所有者責任を問われる可能性があります。
(4)倒壊により損害賠償が発生する
老朽化した建物が原因で、隣家に被害を与えた場合、管理不行き届きとして所有者に責任が生じます。ケースによっては、数千万円から数億円の損害賠償を請求される怖れもあります。
【マイナスでしかない不動産の処理方法】
相続した不動産に価値がほとんどない場合はどうすればいいのでしょうか? 相続不動産が不要な場合の対処として、以下の方法があります。
・寄付
・相続の放棄
(1)売却
所有の意志がないなら、売るという選択があります。遺産としての分割が容易になることや、相続税の納税資金に充てることも可能という点でメリットはありますが、ものによっては中々買い手がつかないことや、税金や手数料がかかってくることに注意しましょう。
税金は印紙税や譲渡所得課税(売却益にかかる税金)、手数料としては不動産仲介会社に支払う仲介手数料や、取り壊し費用等です。
尚、譲渡所得課税は相続税の申告期限から3年以内に売却すれば税負担が軽くなるという特例もあるので覚えておきましょう。
(2)寄付
売却がうまく行かない場合は寄付という方法もあります。寄付の受け入れ先として、地方自治体や個人、法人があります。
自治体の場合は、担当窓口に相談して受け入れ可能と判断されると寄付が成立します。ただし、自治体ごとに設定された条件を満す必要があり、これをクリアする事例はあまり多くありません。
個人の場合は、隣家が土地を欲しがるケースがあります。
法人の場合は、一般企業より公益法人(社団法人や学校、NPO法人)の方が寄付を受けてくれる可能性が高いと言えるでしょう。
(3)相続放棄
価値のない不動産をあえて相続しないという方法もあります。これは相続放棄の手続きを行えば良いですが、不動産だけを放棄するのではなく、相続財産全てを放棄することになってしまいます。
また、相続放棄は一度手続きを行うと取り消しができないので、慎重な判断が不可欠です。
【不動産相続に関するご相談】
不動産相続や相続手続きについてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
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