故人のスマートフォンはロック解除できるのか?【ロック解除不可の弊害とは】

スマートフォン

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

現代社会では、インターネットやSNSなどの普及によって、パソコンやスマートフォンの所有が当たり前になりました。特にスマートフォンに至っては、国民の95%以上が持っているというデータがあります。

よって、近年の相続ではスマートフォンが遺品となるケースがほとんどです。

しかし、スマートフォンは他人にデータを見られないようにロックがかけられている場合が多々あります。ロック解除できないと、故人のネット銀行口座や加入しているサブスクの有無が確認できない問題が発生します。
 

【スマートフォンのロック解除はかなり難しい】

実は、所有者本人以外のスマートフォンのロック解除は、かなり難しいと言えます。解除につながる情報を持っていないと、基本的に解除は不可能です

携帯電話の契約会社に依頼すれば解決すると思いがちですが、契約会社であっても、PINやパスワードは分かりません。ロック解除を扱う専門業者もいますが、100%成功する保障はありません。

それほどまでに、スマートフォンのロック解除は厄介なのです。
 

【スマートフォンロックの種類】

(1)パスワード認証

数字や英字・記号も組み合わせて作られます。後述するPIN認証と共にスマートフォンロックでは使用されるケースが多いです。

遺族のために、エンディングノートやメモ帳などにパスワードを残してくれていれば、解除は簡単ですが、記録が見つからない場合は、予想される組み合わせを自力で探さなければなりません。

(2)PIN認証

PINは、個人識別番号です。4ケタが多いですが、設定によっては6ケタもあります。

パスワード認証同様、該当する数字の情報がない場合、解除には時間がかかります。なお、故人が高齢者の場合、本人や家族の生年月日、電話番後の下4ケタ、1234や0000といった単純な組み合わせにされているケースもあります。

なお、ロック解除には、一定回数入力を間違えると端末を使えなくなる機能があります。加えて、機種によっては、一定回数間違えるとデータが初期化されてしまうものもあります。

よって、解除する情報が不明な場合は、無闇にスマホを触らない方が良いでしょう。

(3)パターン認証

画面に表示される9つの点を、4カ所以上を一筆書きで結ぶ認証方法です。1つの点は1回しか使えないものが大半なので、点をなぞる指の動きが分かれば解除しやすいです。

画面に解除の跡(指をなぞった跡)が残っていれば、解除も容易です。

(4)指紋認証

指紋認証が設定されていると、本人以外は解除不可能です。

しかし、故人が火葬される前であれば、指紋認証を解除できます。どの指が登録されているかは、設定によって変わりますが、人差し指から順に試していけばロック解除されるでしょう。
 

【ロック解除できないことによる弊害】

(1)サブスクや有料サイトの存在に気づかない

ロック解除できないと、スマホ経由で契約したサブスク等に気づかない可能性が出てきます。サブスクは自動で契約が更新されるものが多く、遺族が解約しなければ、費用を払い続けることになります。

もし、ロック解除できない場合、「クレジットカードの明細を確認する」、「通帳の履歴を確認する」、「メールを確認する」ことで契約しているサブスクを見つけられます。

なお、自動引き落としに指定されている、クレジットカードや銀行口座を解約すれば、支払い不可であった案内がサブスクの契約会社から通知されるので、それによって特定することもできます。

未払いが続けば、強制的に契約は解除となりますが、遅延金が発生する場合もあるので気をつけましょう。

(2)個人情報の漏えいや不正利用

故人のアカウントを放置すれば、様々な要因で個人情報の漏えいや不正利用のリスクが高まります。

インターネットサービスによっては名前や住所、クレジットカード情報まで登録するので、重大な情報が不正利用され、犯罪に巻き込まれる危険性があります。

(3)思い出の写真等が取り出せない

スマートフォンで写真を撮る方も大勢いるので、故人のスマートフォンには遺族との思い出の写真が多数残されていることでしょう。

しかし、撮影した写真や録画を確認したい場合でも、ロック解除が必要です。

もし、ロック解除が難しい場合は、データのバックアップを探しましょう。まめな方であれば、パソコンなどにバックアップを残してある可能性が高いからです。

個人所有のパソコンの他に、会社のパソコンにデータが残っているケースもあります。その場合は、勤務先にデータを確認させてもらえないか、問い合わせましょう。
 

【スマートフォンのロック解除は相続人がすること】

故人が所有していたスマートフォンは相続財産になります。よって、ロック解除するのであれば、法定相続人が行うこと。また、他の相続人全員に知らせておきましょう。

他の相続人の同意をとっておけば、無用なトラブルも生まれません。もし、ロックの解除ができた場合は、データ等は相続人全員で共有しましょう。
 

【解約の方法】

スマートフォンの解約手続きは契約会社ごとに違いますが、大まかには以下の書類が必要となります。

  • ・契約対象の携帯電話と書類…該当のスマートフォン、SIMカード、契約書など
  • ・契約者の死亡証明書…戸籍謄本や会葬礼状等
  • ・手続きを行う方の身分証明書…運転免許証、契約者との続柄が証明できる書類、印鑑と印鑑証明書等

各会社のHPやお問い合わせ窓口を利用し、必要書類を把握してください。書類の不備があるとやり直しになるので、余計な時間をかけないように事前準備をしっかりとしておきましょう。
 

【相続のお悩みや相続手続きに関するご相談】

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。