こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
以前の記事で「相続開始日」について説明しました。
相続開始日とは「被相続人が死亡した日」のことで、相続における手続き期限の起算日となりますが、一部の期限には「相続人が相続開始を知った日」から起算されるものもあります。
相続開始を知った日とは一体どういう日なのか、この記事で解説いたします。
【相続開始を知った日とは】
相続の開始を知るのは「被相続人が死亡したこと」に加えて「自身が法律の上で相続人となったこと」を知った時です。
被相続人の配偶者や第1順位相続人の子供であれば、被相続人の死亡を知れば同時に自身が相続人になることがわかります。
しかし、被相続人の両親や兄弟姉妹は、被相続人の死亡を知っても、先順位の相続人が相続放棄等を行わなければ、自らが相続人になったと判断できません。よって、被相続人の死亡=相続開始を知った日ではないことになります。
また、相続人の一人が長期の海外旅行に出かけていて連絡が取れないといったケースでも、被相続人の死亡=相続開始を知った日ではなくなります。
【相続開始を知った日が起算となる手続き】
相続開始を知った日を期限の起算とする手続きには、以下があります。
- ・相続放棄・限定承認の申述
- ・遺留分侵害額請求
- ・準確定申告
- ・相続税申告
相続放棄・限定承認の申述や遺留分侵害額請求は、手続きが期限内かどうかについて家庭裁判所が判断を下します。
相続開始日とそれを知った日にズレが生じているのであれば、裁判所に、いつ・どんな経緯で相続開始を知ったのか説明することになります。
相続税等の税金の申告については、税務署が認めるかどうかになります。
申告書には、相続開始を知った日を記載する欄はないので、もし相続開始日とそれを知った日にズレが生じているのであれば、その事実を税務署に知らせるために、書き方を工夫するか、証拠の郵便物やメール等を添付する方法を取ります。(事前に専門の税理士に、相談することを強くお勧めします。)
【基本は相続開始日からの期限を守る】
相続開始を知った日について、特に税の申告では「社会通念上死亡を知り得た日」と解釈します。
このように理解しないと、起算方法がケースによってバラバラとなり、不公平な事例が生じることになるからです。
よって、相続税の申告等においては、相続開始日(被相続人死亡日)を起算とした期限を守るようにしましょう。
【相続手続きについてのご相談】
相続手続きを行う際には各種の期限にくれぐれも注意してください。
相続手続きについてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
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