こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
民法の規定には「時効」と言うものがあります。
これは、一定の要件下で一定期間に対象物を所有することで自分のものとできる「取得時効」と、一定期間経過すれば債務が失効する「消滅時効」の二つがあります。
後者の消滅時効については、実は相続税においても発生しうることなのです。
【相続税の時効】
相続税における消滅時効については、「除斥期間」と呼びます。
これは時効と同様で、税金の申告期限から一定期間、債権者(税務署)から請求がなければ、債務者(納税者)は支払い義務を負わなくなるというものです。
唯一違う部分は「期間の中断がない」ことです。
中断とは、期間中に請求があった場合は期間がリスタートされるという意味です。例えば、10年あった時効まで後1年と迫った年に催告が行われた場合、その年からまた10年の時効が開始となります。
除斥期間にはこれらの中断がなく、原則5年で成立します。
これらは普通の債権より短期間となっています。
【悪質な場合は除斥期間が延長】
悪質だと判断された場合は除斥期間が7年に延長されます。
悪質な場合とは、故意に申告をしなかった場合や不正を行った場合ですが、金額の大小も影響されます。
例えば、1億円の相続財産を申告した上で、1万円を申告しなかった(計上し忘れた)場合は悪質とみなされる可能性は少ないですが、1億円の相続財産を申告した後で、他に数億円の財産を申告しなかった場合は悪質とみなされる可能性が大きくなります。
【贈与税の除斥期間は原則6年】
贈与税の除斥期間は6年です。悪質と判断された場合は7年に延長となります。
尚、贈与は契約が成立しなければ除斥期間は発生しません。
例えば、親が子供名義で口座を作り預金をしておいたのに、子供がそれを知らなかった場合は贈与の契約が不成立となるので、納税義務自体が発生しないからです。
【除斥期間の成立を狙うのは絶対にやめるべき】
税務署にバレなければ相続税を払わなくても良いという考えは危険です。
大きな資産が動く相続について、税務署はその事実を必ず把握しています。不動産の動きや、預貯金の動きを逐一調査しており、相続税の支払いを逃れるのは不可能に近いでしょう。
そもそも相続税が発生しているのにそれを払わないのは脱税であり犯罪行為です。
ペナルティとして延滞税や重加算税が課され、高額の税金を支払うことになります。最悪の場合は刑事罰となり懲役刑を科せられることもあります。
相続税の申告は隠したりせず、期限内に必ず行ってください。
期限は相続の開始を知った日の翌日から、10か月以内です。
【相続税についての問い合わせ・ご相談】
相続税の時効(除斥期間)について説明いたしました。
除斥期間が成立することはほぼありませんが、相続税が発生したら期限内に申告・納付を行ってください。期限が遅れると払う税金が増えてしまいます。
不安な場合は専門の税理士に代行を依頼するのも良いでしょう。
相続手続きや相続税についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。