こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
自身の死後の財産配分などを指定できる遺言書ですが、一度書いたものをなかったことにしたい=内容を取り消したい場合もありますよね。
遺言書を取り消す場合には、その遺言書を「破棄」するか、新しいものを「作成」する二つの方法があります。
【遺言書の取り消し】
遺言書の原本が手元にあるのなら、単純に破棄してしまえば、取り消しは成立します。ただし、自筆証書遺言の保管制度を利用していて、原本が法務局に保管されている場合は、ご本人が遺言保管所に直接出向いて、返してもらう手続きをしなくてはなりません。
また、公正証書遺言の場合も公証役場にて撤回の手続きが必要です。作成時に同席した証人全てを連れていかなければならない上、手数料も11,000円かかります。
【新しい遺言書を作成する方法もある】
遺言書を残すことを決めている場合、わざわざ古い遺言書を撤回する必要はありません。というのも、遺言書は若い日付のものが優先されるので、新しい遺言書を作成すれば古いものは無効となるからです。
民法においても、“遺言の全部あるいは一部を撤回する場合、遺言作成者は新たに遺言を作成の上、その遺言で以前のものの全部または一部を撤回する旨の内容にすれば前の遺言は撤回したものとなる”とあります。
なお、新しい遺言書を作成して前の遺言書の取り消しを行う際、遺言書の種類は以前のものと同一である必要はもちろんありません。以前は、自筆証書遺言だったが、公正証書遺言を新しく作成しても良いのです。
遺言書の種類によって優劣があるのではなく、あくまで作成日によって優先される遺言書が決まるのです。しかし、遺言書が多数存在していると、遺族の方が混乱する怖れもあることに十分注意しましょう。
【遺言作成には遺言能力が必要】
遺言書を作成するには「遺言能力」が必要です。この能力は具体的には「遺言者の年齢が満15歳以上であること」・「遺言を書く時に判断能力を有していること」の二つです。
年齢が14歳であったり、重度の認知症を患っている場合は遺言書を書いても無効になります。(認知症を患っているというだけでは、遺言能力は否定されません。認知症の程度などが考慮され、最終的に遺言能力の有無の判断がされます。)
これは言い換えれば、遺言書を新たに作成するにしても、その時点で遺言能力をなくしていれば、その遺言書は無効になってしまうということです。十分注意しましょう。
【被相続人死亡後の遺言書の取り消し】
遺言書は遺言者の死亡後に効力が発生します。効力が生じれば、原則的に取り消しや変更はできません。
ただし、その遺言が、他の相続人や受遺者から脅迫行為を受けたり、騙されて作成されたものであった場合は取り消すことが可能です。
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