こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
前回は相続税の基礎控除額、課税遺産総額の計算方法について解説しました。
今回は最終的な相続税の計算方法について解説していきます。
【④相続税の計算をする】
ここまでに計算してきた課税遺産総額から相続税額の計算をしていきます。
※課税遺産総額の計算はコチラをご覧ください。
相続税額は相続人によって異なってくるため、相続税額を計算するためには、3つのステップが必要です。
1.相続税の合計金額を計算する 2.各人の相続税額を計算する 3.税額控除額を差し引き、相続税額を確定する |
<1.相続税の合計金額を計算する>
相続税の合計金額は、法定相続人が法定相続分を相続したと仮定して計算していきます。
計算手順は次の通りです。
a.課税遺産総額から各人の法定相続分の金額を計算する b.それぞれの法定相続分の金額に相続税の税率をかけて相続税の金額を計算する c.全員分の相続税の金額を合計する |
※法定相続人と法定相続分、相続税の税率と控除額に関しては、
この例の下に記載しております。
例えば、課税遺産総額が1億円、配偶者と子ども2人が相続人になる場合、
配偶者の法定相続分は
1億円×1/2=5000万円
子どもの法定相続分は1人につき
(1億円×1/2)÷2=2500万円
取得金額による税率は配偶者20%、子ども1人につき15%であるため、
配偶者の相続税額は
5000万円×0.2=1000万円
子どもの相続税額は1人につき
2500万円×0.15=375万円
配偶者と子ども2人の相続税額を合計すると
1000万円+(375×2)=1750万円
この金額が相続税の合計金額となります。
※参考1:法定相続人と法定相続分
相続人 | 法定相続分 | |
---|---|---|
被相続人に 子がいる場合 | 配偶者 | 2分の1 |
子 | 2分の1 | |
被相続人に 子がいない場合 | 配偶者 | 3分の2 |
父母 | 3分の1 | |
被相続人に 子も父母もいない場合 | 配偶者 | 4分の3 |
兄弟姉妹 | 4分の1 |
※子、父母、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いる場合には、相続分は均等になります。
※参考2:相続税の税率と控除額
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
<2.各人の相続税額を計算する>
1では相続税の合計金額を計算しました。
この合計金額に、「各人が実際に相続した財産が課税遺産総額に占める割合」を乗じて計算します。
1の例で、実際には配偶者が7000万円と子ども2人が1500万円ずつ相続する場合、
配偶者の相続の割合は70%、子どもは1人につき15%となります。
相続税合計は1750万円であるから
配偶者の相続税は
1750×0.7=1225万円
子どもの相続税は1人につき
1750×0.15=262.5万円
となります。
<3.税額控除額を差し引き、相続税額を確定する>
最後に、2で計算した各人の相続税額から税額控除の額を差し引けば、
各人が納付すべき相続税額もしくは還付される相続税額が確定します。
税額控除:贈与税額控除額、配偶者の税額軽減額、未成年者控除額、障害者控除額 |
例えば、
子どもが未成年の場合には、(20-年齢)×10万円 の税額控除があるので、
1の例で片方の子どもの年齢が12歳5か月の場合、税額控除額は
(20-12)×10万円=80万円
252.5万円-80万円=172.5万円
といった形になります。
※〇ヶ月の分は切り捨てて計算します。
このように相続人1人1人の相続税額が計算できます。
相続税の計算は非常に複雑で、多くの専門知識が必要です。
相続税の計算にお悩みの方は、
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