単独でも可能な相続の手続きとは

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

相続人が複数人いる場合は、協力して相続手続きを進めていく必要がありますが、他の相続人が非協力的だったり、遠方に住んでいて連絡が取りづらい場合だと、思うように進めることができません。

手続きの中には期限付きのものもあるので、いつまでも先延ばしするわけにはいきません。なので、できることを先にやっておくのが大切です。

相続手続きの中には、相続人が単独で行えるものもあります。遺言書の有無の確認や、相続財産の調査、相続放棄などが、それに当たります。

比較的自由が効くなら、他の相続人に変わってそれらの手続きを進めておいたほうが良いでしょう。
 

【遺言書の有無の確認】

(1)公正証書遺言・秘密証書遺言の場合

公正証書遺言・秘密証書遺言であれば、全国の公証役場にて「遺言検索システム」を使えば容易に照会が可能です。

遺言検索システムは、原則として相続人本人でなければ利用できないので、遺言者との関係を証明する以下の資料が必要です。

  • ・遺言者の死亡書類(除籍謄本など)
  • ・利用者と遺言者の繋がりが確認できる戸籍謄本など
  • ・利用者の顔写真付き本人確認資料+認印

(2)保管制度を利用している場合

遺言者が法務局での自筆証書遺言の保管制度を利用している場合、相続開始後に相続人が遺言書を閲覧できるようになります。

原本の閲覧は遺言書が保管されている遺言書保管所のみでしかできませんが、モニターによる閲覧は全国の遺言書保管所で可能です。

閲覧の請求には下記のものが必要です

  • ・遺言者の死亡書類(除籍謄本など)
  • ・利用者の住民票の写し
  • ・利用者と遺言者の繋がりが確認できる戸籍謄本
  • ・利用者の顔写真付き本人確認資料

なお、相続人が遺言書の閲覧をすると、遺言書保管所からそのほかの相続人に対して遺言書を保管している旨を伝えてもらえます。

遺言書が預けられているかどうか不明な場合でも、証明書の請求を行えば遺言書保管の有無が分かります。(これも全国の遺言書保管所で請求可能です。)
 

【相続財産の調査】

相続財産の調査は、相続人として財産の引き継ぎ方法を選択する上でも、相続税を申告する上でも重要なものです。できる限り、早めにしておくのが良いでしょう。

相続財産の調査と言えば、銀行に被相続人名義の口座があるかどうかや、所有している不動産を確認することがメインとなりますが、これらは相続人単独で行うことができます。

相続財産調査をするにあたり、最低限必要となるのは以下の書類です。

  • ・遺言者の死亡書類(戸籍・除籍謄本など)
  • ・利用者と遺言者の繋がりが確認できる戸籍謄本
  • ・利用者の顔写真付きの身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)

 

【相続放棄の手続き】

相続放棄とは、相続人として一切の権利を手放し、財産を取得しないことです。

ケースによっては現預金や不動産などの財産より、借入金などの債務が多い場合があります。このような場合、財産を引き継いでしまうと返済に苦しむことになってしまうので、相続放棄が有効な手段となります。

相続放棄には以下の書類を持って、家庭裁判所に申し立てを行います。

  • ・相続放棄申述書
  • ・被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • ・申し立て人の戸籍謄本

申し立てを行うのは相続開始を知ってからから3ヶ月以内(熟慮期間内)になります。ただし、「財産調査がスムーズに進まないため判断が難しい」等、相応の理由がある場合には、期間延長の申請も可能です。
 

【相続手続きに関するご相談】

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。