こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
過去のコラムでも一度紹介していますが、相続には未成年者が相続人となった場合、相続税を減額してくれる「未成年者控除」という制度があります。
本コラムでは同制度の内容をより詳しく解説すると共に、未成年者が相続する場合の注意点についてもご説明いたします。
目次
【相続における未成年者控除とは】
相続における未成年者控除は、20歳未満の未成年者が相続人となって遺産を取得する場合、相続税が一部控除される制度です。
控除される額は「未成年者の相続人が満20歳になる残り年数(1年未満の期間は切り上げて計算)×10万円」です。相続人の年齢が若ければ若いほど控除額も比例して大きくなっていきます。
また、当該相続人の相続税が控除額を下回る場合は、差し引いた金額をその扶養義務者が支払うべき相続税からも減額することができます。
【未成年者が控除される理由】
未成年者の控除制度は、未成年の相続人が成人になるまでの教育費や養育費を考慮したものです。
未成年者は安定した収入があるわけではないので、相続税の負担が大きいと今後の生活が困難になるからです。
【適用するための要件】
同制度の適用条件は以下の通りで、全てを満たす必要があります。
- ・取得した財産が相続もしくは遺贈によるもの
- ・相続で財産を取得する人が法定相続人
- ・財産を取得した時点で満20歳未満
- ・相続開始時点で日本に住所がある
(上記に当てはまらない場合は日本国籍を持っていて、相続人か被相続人が相続前5年以内に日本に住所を有している)
財産を取得した時点で20歳未満であることが条件なので、財産取得時に20歳の誕生日を迎えていなければ未成年者控除は適用されます。
成年の年齢については18歳に引下げる民法改正法が2022年4月1日に施行されることもあり、未成年者控除の対象についても今後拡大される予定です。
【未成年者が相続する場合の注意点】
未成年者は原則として法律行為を行えません。相続手続きにおける遺産分割も法律行為なので、未成年者が遺産分割を行うためには、代理人を立てなくてはなりません。
ここでいう代理人は「法定代理人」と「特別代理人」の2つがあります。
法定代理人とは未成年者に代わって法律行為をする人を指します。基本的には相続人の親が代理人になりますが、親も相続人だと「利益相反行為(一方の利益が生じると自身が代理した者に不利益が生じること)」となるため法定代理人になれません。
そのため、法定代理人ではなく、家庭裁判所への手続きで選任する特別代理人が必要になってきます。
【特別代理人の選任にも注意が必要】
特別代理人は相続の分割によって利益が生じない第3者であれば誰でも資格があります。
未成年者の叔父や、従妹といった親族でも法定相続人でなければ特別代理人の資格がありますが、親族を特別代理人に選任した結果、親族間でのトラブルへと発展するリスクがないとは言い切れません。
そのため、報酬を支払って特別代理人を相続手続きの専門家に依頼することも良いと言えます。
専門家であれば、代理人はもちろん様々なケースにおいて慣れない相続手続きをサポートしてもらえるというメリットもあります。
【相続手続きについての問い合わせ・ご相談】
未成年者控除について詳しく知りたい場合や、そのほか相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。