こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
最近、日本中に放置された不動産が増えているそうです。
所有者がわからない土地や空き家が増え、治安の悪化が懸念され、防火・防災上の観点からも見過ごす訳にはいかない事態となってきました。
これら放棄された不動産問題への対策として導入されているのが「法定相続情報証明制度」です。
こちらでは、法定相続情報証明制度について解説していきます。
【法定相続情報証明制度導入の背景】
不動産の所有者が死亡した場合、その不動産は遺産(相続財産)として相続人に相続されますが、不動産を相続するためには、所有権移転の登記が必要です。
ですが、相続した不動産の所有権移転の登記をするためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など相続を証明する書類一式を提出する必要があり、その煩わしさから、相続した不動産の移転登記が為さずにそのまま放置してしまうケースの増加につながっています。
そして、所有者がわからない土地や空き家が増加することで、その周辺地域の治安の悪化が懸念され、さらには失火や不審火が発生しやすくなるため防火・防災上の問題として認識され、日本中の各地で社会問題に発展しているのです。
【法定相続情報証明制度の概要】
こうした状況の改善のために新設されたのが「法定相続情報証明制度」となります。
この制度は、平成29年5月29日、法務省が相続財産のうちの不動産に関する相続登記を促進するために導入したものであり、相続不動産の移転登記手続きを容易にかつスムーズに行うことを目的としています。
この制度によって交付される「法定相続情報証明」は、相続登記の申請手続をはじめ、預貯金の相続手続、保険金の請求・保険の名義変更手続、有価証券の名義変更手続などで利用することができるため、従来よりもスピーディかつスムーズな相続手続きを行えるようになります。
この制度の申請手続きは次のとおりです。
1. 相続⼈は、法務局(被相続人の本籍地または最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局)に対して、下記1-①、②の書類を添えた所定の申出書を提出。
① 被相続⼈が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等
② 上記①の記載に基づく「法定相続情報⼀覧図(被相続⼈の氏名、最後の住所、生年月日と死亡年月日ならびに相続人の氏名、住所、生年月日と続柄の情報)」
2. 法務局の登記官は上記1.の内容を確認したうえで、1-①は相続人に返却、1-②について認証文付きの「法定相続情報⼀覧図の写し」を相続人に交付。
法務局から入手した法定相続情報⼀覧図の写しが「法定相続情報証明」として、相続に関する各種手続きで利用することができるのです。
相続した不動産について移転登記をしていない方は、司法書士や、制度に詳しい税理士に相談してみましょう。
【法定相続情報証明制度についての問い合わせ・ご相談】
法定相続情報証明制度や相続についてのお問い合わせ・ご相談等がありましたら、
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