不動産を相続したら相続登記が必須【手続きを怠った場合のリスクとは】

不動産相続登記

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

不動産は所有者が変われば名義変更が必須です。相続で不動産を引き継いだ場合も同様で、相続登記を行わなければなりません。

面倒だからと言って、名義変更をしないままでいると様々なリスクを抱えることになります。2024年からは義務化となるので、罰則も追加されます。

よって、早めに手続きを済ませておくべきなのです。

【相続登記とは】

登記は、不動産の所有者を第三者に明示するための手続きです。相続登記も同じで相続により所有権が移ったことを公示する目的があります。

所有権公示は、権利を守ることにも繋がります。

名義が自分のものになっていれば、知らない他人から『この不動産は自分のものである』と言った主張をされることはありません。

【相続登記をしないことによるデメリット】

(1)不動産の売却が不可能に

相続不動産を売却したり、第三者に貸す場合、不動産の所有権を公示する必要があります。

所有者名義が売る側と同一になっていない不動産を買う人はいません。その不動産を購入すれば、トラブルに巻き込まれる怖れが高いからです。

つまり、相続登記がされていない不動産は「取引上の信用が低い」のです。

(2)世代交代で権利関係が複雑化する

相続不動産を相続人複数で共同所有した場合、相続登記が行われずに相続人が死亡して次の相続が発生すると、その持ち分は次の相続人に引き継がれていきます。

世代交代が進んでいくと所有権は細分化され、権利者も増えていきます。その状態で、相続登記しようにも、関係者全員の同意が必要となるので、手続きは大変になってしまいます。

(3)納税漏れのリスクがある

相続不動産にも固定資産税がかかります。相続登記をしないと固定資産税の納税通知書は相続人の誰か1人に届きます。

通知書は基本的に代表者に届きますが、相続人代表者指定届を提出していない場合には役所が指定します。通知者が不動産管理をしていない方に届くと、連絡に時間がかかり、納税漏れをする危険性があります。

納税が遅れると、延滞税が課せられます。

(4)不動産を差し押さえられる可能性がある

相続人のなかに借金の支払いが滞っている人がいる場合、債権者に不動産の相続持分を差し押さえられてしまうかもしれません。

相続登記を済ませていなければ、差押さえをした債権者に不動産が自分のものだと主張することはできません。

【相続登記は遺言書の有無で手続きが変わる】

相続登記は、遺言書で取得者が指定されている場合と、そうでない場合(遺産分割協議で取得者を決定)で、申請人が変わります。

(1)遺言書がある場合の相続登記

遺言書がある場合は、以下のパターンで申請者が変わります。

  • ・遺言書で取得者が指定されている場合の申請者は取得人となる
  • ・遺言書に取得人ではなく、相続分のみが指定されている場合、相続人の代表が単独申請できる
  • ・法定相続人以外の者が指定されている場合、受遺者と相続人(遺言執行者)の共同申請となります

相続分のみ指定されてあるなら、不動産は相続人同士の共同財産となりますから、代表の相続人が単独で登記申請できます。

遺贈である場合は、登記の原因が相続ではなくなります。そのため、遺言に従ったとしても、受遺者が単独で申請することはできません。申請は遺言者の相続人全員あるいは遺言執行者と共同で行います。(遺贈登記に該当します。)

受遺者が単独申請できるのは、「受遺者と遺言執行者が同一である場合」です。

(2)遺言書がない場合の相続登記

遺言がない場合、遺産分割協議をするかどうかで違いが出てきます。

遺産分割協議をせずに、法定相続分に従って不動産を分配するなら、共同相続人の代表が単独で相続登記できます。ただし、自身の相続分のみではなく、必ず全員分の相続登記をします。

遺産分割協議がある場合、下記のパターンによって変わります。

  • ・遺産分割協議前に相続登記をする⇒単独での申請が不可、共同申請となる
  • ・遺産分割協議前に相続登記をしない⇒単独申請が可能

【遺言書は検認手続きが必須】

遺言書の存在と内容を明確にする手続きを検認手続きと言います。

遺言書がある場合、登記に遺言書が必要となりますが、検認手続きを終えたものでなければなりません。

ただし、法務局での保管制度を利用した遺言書や、公正証書遺言の場合は検認手続きは必要ありません。

【相続登記は義務化する】

現在では相続登記には期限がなく、罰則も定められていませんが、2024年には相続登記義務化がスタートされます。

相続登記の義務化が始まるのは令和6年4月1日からですが、以降は「相続が開始され不動産の所有権取得の事実を知ってから3年以内」に相続登記を申請しなければならなくなります。

なお、正当な理由もなく期間以内に登記しない場合、10万円以下の過料を求められる可能性があります。

また、施行日の前に生じた相続についても遡って適用されるので、相続登記は早めに済ましておくべきなのです。

【相続手続きが不安な方は古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへ】

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。