こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
今回は医療法人の持分に関する相続税の納税猶予の特例について解説していきます。
≪医療法人の持分に関する納税猶予制度≫
医療法人は大きく持分あり・持分なしに大別できます。
このうち持分ありの医療法人に関しては、出資額に応じた持分に対して相続税が課税され、出資者の税負担が大きくなる問題点がありました。
しかし、現在は税制が改正され、持分に対しての納税猶予制度が設けられています。
医療法人の持分の納税猶予は、相続を行った場合が対象です。
相続した際に発生する相続税の納税を猶予できる制度であり、場合によっては大きな節税効果を生みます。
今までは医療法人を相続した際の相続税が非常に高く、負担が大きなものと受け止められていました。
この納税猶予によって負担を軽減できるため、節税したい方は検討の余地がある制度です。
ただし、相続の納税猶予を受けるためには届け出が必要で、認定医療法人持分の全てを破棄した場合と、基金拠出型医療法人に移行する場合とで免除額が異なります。
前者は納税猶予税額が免除されるものの、後者は基金に拠出した額に相当する額を控除した残額となります。
個々のケースにより異なりますが、どのような場合でも全額免除、とはいかないので注意しましょう。
≪相続の際に納税猶予を利用する注意点≫
医療法人の持分を納税猶予する場合、下記条件のいずれかに該当した場合は特例が適用されません。
相続が発生した日から相続税の申告期限までの間にいずれかへ該当すると、納税猶予の対象外となります。
・出資額の払い戻しを受けた場合 ・持分を譲渡した場合 ・持分の一部または全部を破棄し、相続税の税額控除の適用を受ける場合 |
また、納税猶予を受けるためには、被相続人は医療法人の持分を有した人物であることが必要です。
相続人は被相続人から医療法人の持分を相続し、かつ相続税の申告書に特例を受ける旨を記載しなくてはいけません。
なお、厚生労働大臣より認可を受ける前に持分を破棄してしまうと、残念ながら特例を受けられないので注意が必要です。
≪税理士への相談も一つの手段≫
医療法人の持分の納税猶予は適用条件の解釈が難しく、人によっては混乱してしまうかもしれません。
そもそも対象になるのかと、判断に迷う場合もあるでしょう。
もし判断に困った時は、税や相続の専門家でもある税理士に相談してみましょう。
親が医療法人に出資をしている場合などは、持分の相続が発生する可能性もあります。
ただし、医療法人の持分は相続の対象になっていますので、遺産分割協議でしっかり話し合いを行いましょう。
医療法人の持分に関する相続税の評価方法についてわからないことがありましたら、
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