こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
相続税は、亡くなった方(被相続人)の残した財産(相続財産)を、法律の定めによって、または、遺言によって、これを受け継いだ場合に相続財産となる金額にかかる税金であり、相続財産が一定の金額を超える場合にのみ、その相続財産の額に応じた税率が適用され、相続税を負担することになります。
仮に、相続財産が一定の金額を超えなければ、相続税を納める必要はなく、相続税の申告をする必要もありません。
目次
【相続税の申告件数の推移(平成27年~28年)】
国税庁が公表したデータによると、相続税の申告が必要なケースは、実はそれほど多くはありません。
平成28年中に亡くなられた方(被相続人)の数は約131万人(平成27年は約129万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人の数は約10万6千人(平成27年は約10万3千人)であり、課税割合は8.1%(平成27年は8.0%)でした。
つまり、平成27年~28年の平均の数字になりますが、相続税の申告書を作成して、これを提出したのは、相続が発生した件数のわずか8%程度に過ぎなかったということなのです。
したがって、お身内がお亡くなりになり、ご自身が相続財産を受け継ぐことになったとしても、「相続税の申告書を作って、相続税を納めなくてはならない!」と気持ちを焦らせる前に、そもそも相続税を納める必要があるのかどうかを確認することが大切です。
【相続税を納める必要があるのか確認しましょう!】
相続税の申告が必要かどうか確認するには、まずは、基礎控除額を計算して、ご自身が受け継いだ相続財産の額がそれを超えているのかどうか確認します。
≪相続税の基礎控除額の算出方法≫
3,000万円+ 600万円×法定相続人の数=相続税の基礎控除額
相続税の基礎控除額の計算に際して、法定相続人の数の把握には次の点に留意が必要です。
1.相続放棄をした相続人についても、法定相続人の数に含めること
2.養子の数は次の基準にしたがい、法定相続人の数に含めること
➀実の子どもがいる場合、普通養子は1人まで
➁実の子どもがいない場合、普通養子は2人まで
➂特別養子縁組による養子はその数すべて(実のこどもと同じ)
事例をみてご説明いたします。
≪事例:配偶者、(実の)子ども1人、特別養子2人、普通養子2人の場合≫
この場合、上記の基準に当てはめると、
3,000万円+ 600万円×(1+1+2+1=)5人=6,000万円が相続税の基礎控除額
となります。
この事例では、6,000万円を超える相続財産がなければ、相続税を納める必要がなく、相続税の申告そのものが不要となります。
仮に、この事例で相続財産が6,000万円を超える場合であっても、次の相続財産が含まれていれば、一定額を更に上乗せして基礎控除額を計算することができます。
1.死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)
2.死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)
このほかにも、「相次相続控除」や「障害者控除」といった制度の活用が考えられます。
このように相続税の基礎控除額には、さまざまな条件に応じて、基礎控除額に上乗せして相続財産の総額を上回っていれば、相続税を納める必要が無く、相続税の申告も不要となるのです。
【相続についてのお悩み・ご相談】
相続の場面ではトラブルも発生しやすいですが、より円満な解決に繋がるよう、税理士の立場からサポートしていきますので相続に関するお悩み・ご相談がありましたら、
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