こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
お父さんの存命中、散々お父さんに迷惑をかけた親不孝者の長男には、お父さんの遺した財産(相続財産)から一円も相続させたくない!
こんなお母さんの願いを叶えてあげる方法として、「相続人の排除」という手続きがあることを前編でご説明しました。
このほかの対策についてご紹介します。
【相続トラブルがエスカレートするのを避ける方法は?】
民法上、親不孝者でもどんな人でも、法定相続人であれば遺留分が認められ、一定割合の財産を相続する権利があります。
もし仮に、お父さんが親不孝者の長男には一円の財産も相続させないと遺言を残したとしても、長男が遺留分減殺請求の手続きを起こせば、長男は、自分の遺留分を相続した人たちから自分の遺留分を取り戻すことができます。
また、遺留分さえも絶対に長男に渡したくない場合、被相続人に対する虐待や重大な侮辱の存在があるか、被相続人に対して精神的に苦痛や損害を与えるような著しい非行があれば、被相続人自ら、あるいは、遺言執行者が家庭裁判所に請求することで実現できます。
ですが、遺留分減殺請求も相続人の排除も、ともに裁判上の煩わしい対応を伴うので、家族・親族間の関係悪化が懸念され、一家の大黒柱を失った悲しみの中こうした争いを続けることには、かなりの精神的負担を伴うものです。
相続トラブルのエスカレートによる家族・親族間の関係悪化や、精神的負担を未然に防ぐ方法として、「遺留分」に関する家族信託の活用があります。
【遺留分を認めることで相続トラブルのエスカレートを防止!】
民法上認められる遺留分相当の財産を、親不孝者の長男に認めてやる代わりに、遺留分減殺請求や相続人の排除の訴えを回避し、家族・親族間のトラブル悪化を防ぐことができるのが、遺留分に関する家族信託を活用した方法です。
これには「遺留分対抗型」と「遺留分給付型」の二つがあります。
まず、受益者を委託者と同一にして、受託者を後継者の方とします。
上記の例では、お父さんが受益者であり委託者、受託者はお母さんとなるでしょう。
そして、お父さんの財産の全部あるいは一部を受託者に信託します。
これで受託者は、受託者名義となった信託財産を、信託契約に定めた管理・運用・処分を自由に行うことができます(裁判となると係争物として処分が制限される場合があります)。
① 遺留分対抗型:
当初、受益者の死後の第二次受益者として、後継者と後継者の更なる後継者だけに受益権が渡るようにします(後継者のみに限定する理由は、信託の受託者と受益者が同一人物の場合は一年で信託が終わり、紛争機会を制限できます)。
上記の例では、お父さんが受益者、お母さんが第二次受益者ですね。
そして、もし長男から遺留分減殺請求が提起されたときは、制限付受益権の一部(遺留分相当の受益権持分)を与えるのみとなります。
第二次受益者が亡くなった後の第三次受益者は、後継者のさらなる後継者にすることができます(現在生まれていない人でも可能)。
② 遺留分給付型:
当初受益者の死後の第二次受益者として、後継者と遺留分請求権者に受益権が渡るようにします。
これにより、親不孝者の長男にも既に遺留分相当の受益権があてがわれているため、長男としても遺留分減殺請求権を行使する必要がなくなります。
家族信託の活用を検討するなら、まずは頼りになる税理士や弁護士に相談しましょう。
【家族信託についてのご相談】
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