こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
苦労して相続税の申告はしたものの、税務調査が来るかもしれないと不安に思ったことはないでしょうか。
相続税は法人税・所得税よりも高額であること、申告内容に漏れがあるケースが多いこともあり、相続税に関する税務調査は高い確率で来ることは事実です。
今回は相続税の税務調査がどのようなものであるのか?2回に分けて解説したいと思います。
目次
【相続税に関する税務調査の件数】
国税庁のデータによれば平成29年分の相続税の申告件数は約11万件(平成28年は約10万6千件)となっていて、これに対して実地調査件数は、平成29年は約12,576件(平成28年は12,116件)という数字になっています。
相続税に関する税務調査は必ずあるという訳ではなく、数字上では10%程度の割合で調査が入るということになります。
昨今は高齢化で毎年遺産を遺して亡くなられる被相続人の方も多いこともあり、相続税の申告数は増えていっています。
しかしながら、税務署に勤めている職員の人数にも限りがありますので、全件を対応するのは不可能なため「特定のもの」に絞って実地調査を行なっています。
【税務調査が入るケース】
まず、相続税に関する税務調査のターゲットは、相続手続きを行なって相続税を申告した方だけではありません。無申告の方も、実は相続税申告の対象だった場合もありえるからです。
税務調査では必ず事前の調査が行われていて、
- 相続税申告書の課税計算や遺産の評価について間違っていないか
- 相続税申告書に相続した遺産について漏れがないか
の2点について怪しい部分をチェックした後に実地調査を行っています。
税務署は不動産や過去10年分の預貯金の出入金履歴、有価証券の移動履歴や生命保険金の支払い履歴、所得等をきちんと調べています。
よって僅かばかりでも、疑いがあれば税務調査が入る可能性は高くなります。
【税務調査の実施時期】
相続税の申告期限からおよそ1、2年経過した頃になります。
税務署も銀行や証券会社に取引内容の確認や申告漏れがないか等を把握しなければならないため申告から調査までの期間があきます。
【調査の種類】
税務調査としては以下の2種類があります。
(1)強制調査
そのまま名前の通り強制力のある調査です。TVなどでも時折目にするもので、スーツ姿の方が複数人でやってきて調査を行うあれですね。
この調査は、多額の脱税・相続税逃れをする相当に悪質なケースを取り締まるもので、とても厳しい調査です。
また、国税犯則取締法に基づき、犯則嫌疑者を検察官へ告発することを目的とした「犯罪捜査」のため、調査前に内偵等で裏が取れています。
よって、一般の相続税申告の後に強制調査が行われることはほとんどありません。
(2)任意調査
相続税及び他の税務調査のほとんどがこの任意調査で行われます。
強制力はありませんが、実際には断ることは困難なため任意調査の連絡がきたらきっちりと対応してください。
調査自体は税務署からの質問に都度答える形で進行していきます。
税務調査となると、どうしても自分の申告漏れや不備を疑ってしまいますが、きちんと相続税の申告を行なっていた場合でも税務調査が入ることはあります。
なので、落ち着いて対応することが大事です。
【税務調査についての対処】
相続税の税務調査への対処には、相続が発生する以前から計画的に準備しておくことが理想です。
申告漏れや課税計算の間違いを無くすためにも、きっちりした事前の調査、確認が大切だからです。
また、自分達だけでやるとどうしても間違いが起こる可能性があるので、専門家に相談してチェックをしてもらう(必要資料を作成してもらう)という方法もおすすめです。
その際には税務調査のリスクを回避するためにも「相続税の専門的な知識や経験」を持つ「税理士事務所」を選んでください。
もし、相続税の申告を自分で済ませたという方も、税務調査が入った場合には、調査への立会を専門の税理士に依頼することも可能です。
不安で仕方がないという方にとっては、「専門家に助言をもらう」、「当日に同席してもらう」ことができれば精神的な負担も軽くなるはずです。
【相続に関するお悩み・ご相談】
相続税の申告や税務調査についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。