こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
今回も相続税の税務調査の内容についてご紹介いたします。
当記事では相続税の税務調査の中で具体的にどのようなことを聞かれるのか解説したいと思います。
目次
【税務署は事前にこんなことを調べている】
前回のおさらいになりますが税務署は事前に以下のようなものを調査しています。
(1)取引銀行(金融機関)
被相続人の預金残高や生前の取引内容を確認します。
被相続人が亡くなった直前に預金の引き下ろしがなかったか、または入金がなかったかを見ます。
(2)不動産
登記情報などから所有者を確認し、被相続人の隠し不動産がないかどうか調査します。
(3)生命保険
生命保険会社から送られてくる支払調書等から保険の中身や死亡保険の受け取りがあったかどうかを見ます。
(4)確定申告
過去に遡って所得税の確定申告や源泉徴収票などから、被相続人の収入状況、株式売買等の状況を確認します。
【相続税の税務調査ではどんなことを聞かれる?】
相続税に関する実地調査では、被相続人のことから相続人のことまで様々な事項について質問がされます。
中には被相続人の趣味やどんな性格だったのかという一見調査には無関係と思われるようなことも聞いてきます。
しかしながら、税務署の調査官はこのような情報から調査の端緒をつかもうとするのです。
よく聞かれる質問としては、以下のものがあるので参考にしてください。
(1)出身
本籍および実家の場所を聞かれます。
被相続人が住んでいた場所と実家の住所が同じでない場合には、実家の近くに土地や家屋等の不動産を所有しているか確認します。
(2)職業
職歴や会社を設立している場合は、家族が係っているのか、役員報酬の金額を質問されます。
どのような収入で貯蓄を行なっていたのかを確認します。
(3)趣味
被相続人の中には高級車や壺などの骨董品を好む場合もあります。
それらは遺産に含まれるため、現物の提示が求められたりします。
また、ゴルフを趣味としている場合にはゴルフ会員権購入の有無の確認があります。
現金や不動産以外でもこのように資産形成をすることができるので、しっかりと確認がおこなわれます。
(4)その他の事項
相続直前に大きな出費がある場合はその用途、財産の管理状況や利用していた金融機関、投資状況、寄付行為、亡くなる前の病状、認識能力の有無、財産管理の状況、などが聞かれます。
調査官からの質問に対して回答した内容は、書面にまとめられ間違いがないか確認した後に署名・押印すれば実地調査は終了です。
【遺産総額が高いと注意】
税務署では、計上すべき遺産の漏れが無いかについて、独自の調査を行っています。
このため多くの事案では、相続税の税務調査開始の前から相続財産の漏れがある、もしくは漏れている可能性が高いということを税務署は掴んでいます。情報が確定でない場合も、可能性があれば、税務調査が入ることはあります。
また、相続する遺産の総額が高ければ、相続税は高くなるため、税務調査に来る場合は高くなります。
国内の相続税申告の遺産総額平均値は約2億5000万円のため平均値を大きく超える(3億円以上ある)場合では、実地調査が入りやすいと言えるでしょう。
【申告書の作成時点で税理士に相談している場合】
相続税申告書の第1表の右下には税理士の署名捺印欄があり、もし申告書作成時に依頼をしておけば、この欄を埋めることができます。
逆に空欄であれば税務署も個人作成ということで間違いがあるという目線になり、税務調査が入る可能性も高くなります。(尚、申告書が正しくても調査は入ります。)
署名欄を埋めたからといって、税務調査が必ず入らないとは言えませんが、仮に実地調査があっても税理士が同席するため、納税者に不利な提案や指摘が来ても回避できます。
【税務調査への対処】
繰り返しとなりますが、税務署も適当に調査先を選定しているのではなく、ほとんどのケースで事前調査をしっかりと行い、遺産の申告漏れ・相続税の申告ミスがありそうな所を選んで実地調査にやってきます。
なので、重要なのは相続税申告書作成時に税務調査に入られないようなきちんとした書類作成を行うことが大切です。専門家に依頼を行うことでミスを防ぐことができますし、節税のアドバイスも提案もしてもらえます。
また、自分で相続税の申告を行なった場合で、税務調査が入る場合は対応を全て専門家の税理士に依頼することも可能です。
相続手続きについては、個人では人生で経験する機会がそんなに多くないため、どうしても戸惑ってしまいます。
失敗しないためにも、ぜひ相続手続き専門の税理士に相談してみてください。
【相続に関するお悩み・ご相談】
相続税の申告や税務調査についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。