「遺言執行者」の具体的な業務について|八王子・多摩の相続なら

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

遺言執行者業務

前回、遺言執行者の概要について紹介しましたが、今回は具体的な業務について紹介していきます。

相続手続きをされる方は是非参考にしてください。

【執行者が持つ2つの請求権】

遺言執行者は遺言内容を実行するために、相続財産の管理やその他遺言の執行に必要な行為をするための権限がありますが、それとは別に以下2つの請求を行う権利を有しています。

(1)費用償還請求権

これは遺言執行にかかった費用を請求する権利です。

必要費用の支出や債務を負担したとき等は、その費用の償還もしくは弁済を代行することを求めることが可能です。
また、遺言執行のために過失なく損害をうけたときは、相続人に対し、賠償請求を行うこともできます。

尚、相続財産の額を超える費用の請求は認められません

(2)報酬請求権

遺言執行に対する報酬を請求することができます。

遺言の中で報酬額が決定されていればそれに従いますが、記載がない場合は家庭裁判所に申立てを行い、報酬額の決定を委ねます。
 

【執行者の業務】

相続手続きが開始され、遺言執行者の承諾を受ければ遺言者の仕事はスタートします。

就任承諾をした旨を相続人全員に通知した後、以下業務を行います。

  • 相続人の確認のために戸籍等の証明書収集
  • 相続財産調査
  • 財産目録作成・交付
  • 法務局に対して登記申請手続きを行う
  • 各金融機関に対する解約手続きを行う
  • 株式等の名義変更手続き ・換価手続きを行う

尚、遺言執行者には報告義務があり、相続人や受遺者が希望する場合は、遺言執行の状況を報告する必要があります。

また、本来であれば他の相続人や受遺者に引き渡すべき遺産を使用した場合はその日以後の利息を支払うこと、もしくは損害が発生した場合は賠償しなければならないという補償義務もあります。
 

【執行者の解任】

遺言執行者は選任され就任した後でも、解任することができます。

解任にあたっては、「執行者が遺言執行に関する業務を怠った場合」もしくは「その他の正当な事由がある場合」に可能となります。

「執行者が遺言執行に関する業務を怠った場合」というのは、遺産の目録作成をしない、他の相続人の要望に応じて状況報告をしない等、執行者の義務を放棄する行為です。

また、「その他の正当な事由がある場合」というのは、例えば執行者が特定の相続人の利益を増やすことを図る等不公平なことを行おうとしている場合があたります。

解任手続きは相続人や受贈者が家庭裁判所に対して解任を請求し、審判を行ってもらった後完了します。
 

【執行者を専門家に任せる方法も】

遺言執行は思ったよりも複雑なため、迅速に処理して行くには専門知識や経験があったほうが有利です。

また、役所や金融機関などでの手続きについては平日に行わなければならないので、仕事を抱えられている方にとってはかなりの負担になってしまいます。

業務の負担もそうですが、遺言書内容の実現という大事な役割を担うこともあり他の相続人の方からもプレッシャーがかかる場合や別のトラブルが発生する場合もあるので精神的にも負担がかかります。

よって、執行業務に不安がある方、忙しい方等は専門家に依頼することをおすすめいたします。

依頼料は発生いたしますが、業務の煩わしさやプレッシャーを感じずに済むので、まずはご相談してみてはいかがでしょうか。
 

【相続に関するお悩み・ご相談】

遺言書の作成や遺言執行者選任等、相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。