こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
既にお伝えしておりますとおり相続法の改正が為されます。
改正される施策のうち、署名・押印すれば遺言書も財産目録もパソコンで作成することができる「自筆証書遺言に関する見直し」が2019年1月13日に既に施行されておりますが、来る2019年7月1日から原則施行されることになっております。
相続法改正のポイントについては、既にこの相続コラムでご説明しておりますが、実は、それ以外でも、相続に大きな影響を及ぼす法律の改正があります。
今回はその点についてご説明いたします。
【成年年齢の引き下げと相続の関係】
このたびの相続法改正と併せて、「民法の一部を改正する法律」が公布され、2022年4月1日から施行されます。
この法律が施行されると2022年4月1日の時点で18歳以上20歳未満の方が、その日に成年に達することになり、この日を境に一気に成年が増えることになるのです。
そして、成年が18歳に引き下げられることで、これまでの相続のあり方にも大きく影響が生じることになります。
【遺産分割協議に加わる成年が増える】
被相続人が亡くなると、相続人の間で相続財産を分け合うことになります。
そして相続人の間で相続財産の分割について相談することを「遺産分割協議」と呼んでいます。
ただし、十分な判断能力が備わっていない未成年者は、この協議の場には参加することができず、代理人を立ててこの協議に参加することになります。
通常、未成年者の代理人は、親権者となりますが、遺産分割協議においては、親と子の利害が対立することもあるので、この場合は、弁護士や税理士などの第三者が特別代理人として協議に加わります。
成年年齢が引き下げられると、遺産分割協議に加われなかった18歳以上20歳未満の方が、堂々とこの協議に参加して、自分の考えや意見を伝えることができるようになるのです。
【相続時精算課税制度を活用できる成年が増える】
「相続時精算課税制度」とは、一定の要件を満たす贈与について、2,500万円までは贈与税が非課税になるという特例であり、通常の贈与の場合は贈与税が課税されますが、相続時精算課税制度が適用されると、贈与を受けた時点では贈与税の納付は不要で、後で贈与者が亡くなった際に、予め贈与された財産を相続財産に加算して、相続税を計算するという制度です。
これによって、贈与時に多額の贈与税を納める必要がなく、相続財産として相続した時に税金を後払いすることになるというものです。
ただし、この制度の適用対象者は、贈与する側は60歳以上の両親または祖父母、受贈者側は贈与者の推定相続人である20歳以上の子または孫となります。
成年年齢が引き下げられると、相続時精算課税制度の適用対象外であった18歳以上20歳未満の方が、適用対象者として、制度のメリットを享受できるようになるのです。
このように、成年年齢の引き下げは、相続や贈与に対しても大きな影響を及ぼすことになるのです。
【相続や贈与に関するお悩み・ご相談】
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