親不孝者に遺産を渡したくない!こんな場合はどうする?-前編-|八王子・多摩の相続なら

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

例えば、お父さんが亡くなって、お父さんの遺した財産(相続財産)は、妻であるお母さんと、2人の兄弟で相続することになりました。

ですが、お母さんは、高校を中退して非行に走り、定職にも付かず、お金に困った時やトラブルが起きた時だけお父さんを頼ってきた長男には、お父さんの相続財産を渡したくないと言っています。

こんなお母さんの願いを叶えてあげる方法はあるのでしょうか?

相続について八王子・多摩で会計事務所を営む税理士がわかりやすい言葉で解説

【遺留分と遺留分減殺請求とは?】

相続財産を承継する相続人の中に、「この人だけには相続財産を渡したくない」という人がいるかも知れません。

特に、被相続人の存命中に、散々迷惑ばかりかけて、親孝行などしたことのないような人には、被相続人の気持ち・想いを考えると一円の財産もあげたくないという気持ちにもなるでしょう。

ですが、どんな人であっても、その人が法定相続人である場合、民法上、法定相続人としての遺留分が認められているため、法定相続人と被相続人との関係に応じて、一定割合の財産を相続する権利が認められています。

遺留分については、下記の割合が民法で定められています。

・配偶者と子ども:本来の法定相続分×1/2

・法定相続人が直系尊属(被相続人の父・母)のみの場合の直系尊属:本来の法定相続分×1/3
なお、被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められていません。

冒頭のケースでは、二人の兄弟のひとり分の遺留分については、
相続財産合計×1/2×1/2×1/2=相続財産合計×1/8
となっています。

つまり、親不孝者の長男にも最低、相続財産合計のうち1/8を受け取る権利があるのです。

仮に、お父さんが生前遺言を残しており、その遺言に長男には一円の財産も相続させないと記載していたとします。

この場合でも、長男には、民法上の権利である遺留分として、相続財産全体の1/8があるため、お父さんの財産が相続されたのち、自分の遺留分相当額を含めて余計に多く相続財産を譲り受けているお母さんと次男に対して請求することができます。

これが「遺留分減殺請求」という手続きです。

遺留分減殺請求がなされると、一定割合の財産がその者に渡ります。

【遺留分も渡さない方法はあるの?】

遺留分減殺請求により、一定割合の財産をその者に渡ることを防ぐには、民法上の定めとして「相続人の廃除」または「遺留分放棄」の制度があります。
相続人の廃除は、被相続人に対して虐待や重大な侮辱を加えたとき、または、相続人にその他の著しい非行があったときで、家庭裁判所の審判を得ることが要件となります。

また、遺留分放棄は対象となる相続人自身の申立と、家庭裁判所の許可を得ることが要件となります。

上記のケースで取り得る策としては相続人の排除になります。
相続人の排除は、被相続人が存命中なら被相続人自身が家庭裁判所に排除を請求するか、被相続人の死後は、遺言執行者が家庭裁判所に排除を請求することになります。

このような場合は、躊躇せず、頼りになる税理士や弁護士に相談して、早期に解決するようにいたしましょう。

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