こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
相続では遺産に不動産が含まれている場合がありますが、その不動産に「抵当権」がついているケースもあります。
抵当権が設定されていると、借金の返済が滞ったり、返済不能となった場合に、担保となっているものが差し押さえられ、強制売却されることになります。(売却金は借金の返済に充てられます。)
目次
【抵当権と相続】
抵当権とは、不動産などの財産に対し、お金を貸す債権者側が設定する担保権のことです。債務者が返済できなくなる事態に備えて、別でお金を回収するためのものです。
例えば、土地に抵当権が設定された場合、債務者からの返済ができなくなった際には、抵当権に基づいて該当の土地は競売に出され、その売却代金から優先的に弁済されることになります。
よって、相続不動産に抵当権付きの土地や建物が含まれている場合、その不動産によって担保されている相続債務があるはずです。
抵当権によって担保されている債務については、登記簿謄本から確認できます。
なお、被相続人の債務も相続されます。ただし、抵当権によって担保される債務が、被相続人以外の第三者の債務であった場合は、相続されません。(しかし、第三者が弁済しないうちは不動産に設定された抵当権はそのまま存続します)。
【抵当権付きの不動産も相続できる】
抵当権付の不動産であっても、通常の不動産と同じように取得できます。しかし、抵当権付きの不動産は相続後も抵当権がそのまま残ります。
繰り返しますが、借金もマイナスの財産として相続対象です。被相続人の借金も相続人に引き継がれますし、抵当権によって担保される債務が返済されないうちは、抵当権はそのまま存続します。
もし、相続後に借金の返済が滞ったり、返済不能となった場合、相続不動産は差し押さえられ、強制的に売却されます。
【抵当権は不動産の相続税評価に影響しない】
抵当権付不動産も相続税の対象です。抵当権はその有無について、不動産評価額に影響しません。
土地であれば、通常通り、路線価方式か倍率方式によって評価します。(路線価が設定されていない土地の場合、倍率評価を採用します。)
路線価も倍率も、国税庁が決める値であり、毎年1月1日に価格が更新され、8月頃にHP内で公表されています。
建物であれば、相続税額評価は固定資産税評価額を基に、建物の「利用状況」によって設定された利率をかけます。個人利用であれば、評価額は固定資産税評価額と同額になりますが、第三者に貸していた場合は、借家権割合によって評価額が下がります。
【抵当権を抹消するには】
(1)債務の返済
抵当権をなくすには、債務を完済しなければなりません。相続人が被相続人の債務を引き継いだ場合は、相続人が債務を返済します。
第三者の債務を被相続人の不動産で担保していた場合は、第三者の債務完済を待つか、不動産を継いだ相続人が借金を肩代わりし、不動産の抵当権を外して、返済額を第三者に求償する方法もあります。(求償しなければ、第三者への贈与金になります。)
(2)抵当権の登記抹消
注意したいのが、債務が完済されても自然に抵当権の登記は消えません。
法務局で、抵当権者である金融機関と不動産を相続した相続人とが共同で抵当権の抹消登記を申請する必要があります。
【負債があまりにも大きい場合は相続放棄の検討も】
相続が発生した際には、まずは故人の資産と負債がいくらあるのか把握しましょう。
というのも、負債が資産を大きく上回っている場合、そのまま相続してしまうと後の生活に多大な負担がかかる懸念があるからです。負債が大きい場合は、相続放棄を検討した方が良いでしょう。
相続放棄する場合、その旨を家庭裁判所に申し出る必要があります。相続放棄できる期間は、通常、被相続人が亡くなってから3ヶ月(熟慮期間内)と非常に短く限定されています。この期限を過ぎないように気をつけてください。
他にも、相続財産を自己のために処理してしまうと、相続放棄ができなくなるので注意しましょう。
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