こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
前回のコラムに引き続き、今回も株式の評価方法について解説していきます。
前回のコラム「株式の評価のポイント-前半」はこちらからご覧いただけます。
目次
【②気配相場等のある株式の評価額の計算方法】
気配相場等のある株式とは、日本証券業協会の登録銘柄や店頭管理銘柄、公開途上にある株式をいいます。
<A.登録銘柄や店頭管理銘柄の評価>
日本証券業協会の登録銘柄や店頭管理銘柄の評価方法は上場株式の評価方法とほとんど同じです。
課税時期(相続開始日)に日本証券業協会が公表した取引価格を基に下記の4つの価額を計算し、最も低い価額のものが上場株式の価額となります。
上場株式と異なり、取引価格に高値・安値がある場合がありますが、その場合には高値と安値の平均額を取引価格として計算します。
(1)課税時期(相続開始日)の取引価格 |
(2)課税時期(相続開始日)を含む月の毎日の取引価格の平均額 |
(3)課税時期(相続開始日)を含む月の前月の毎日の取引価格の平均額 |
(4)課税時期(相続開始日)を含む月の前々月の毎日の取引価格の平均額 |
※各取引価格は日本証券業協会のHPで確認可能です。
<B.公開途上にある株式の評価>
公開途上にある株式の評価方法は、その株式の公募や売出しをするか否かによって2つに分かれています。
株式の上場または登録に際して…
・株式の公募または売出しが行われる場合
→公開価格が評価額となる
・株式の公募または売出しが行われない場合
→課税時期(相続開始日)以前の取引価格等を考慮して評価額を決定する
参考:国税庁HP「No.4635 気配相場等のある株式の評価」
【③取引相場のない株式の評価額の計算方法】
取引相場のない株式とは前述の上場株式・登録銘柄・店頭管理銘柄・公開途上にある株式以外の株式のことです。
取引相場のない株式は、相続により株式を取得した新たな株主の立場によって評価方法が異なるため、注意が必要です。
<A.相続で株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等である場合=原則的評価方式>
原則的評価方式とは、株式を発行した会社を総資産価額、従業員数、取引金額によって大会社・中会社・小会社に区分して、それぞれの方式で評価していく方法です。
区分 | 評価方式 |
大会社 | 類似業種比準方式(純資産価額方式も適用可能) 株式を発行した会社の株価を類似業種と比較して評価する方法。 ※類似業種の業種目及び業種目別株価などは国税庁HPで閲覧できます。 |
小会社 | 純資産価額方式(併用方式も適用可能) 会社が解散したと仮定した時、株主に分配されるはずの金額(正味の財産額)により評価する方法。 |
中会社 | 大会社と小会社の評価方法を併用(併用方式) |
<B.相続で株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等でない場合=特例的な評価方式の配当還元方式>
配当還元方式とは、株式を所有することで受け取ることのできる1年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して原本である株式の価額を評価する方法です。
参考:国税庁HP「No.4638 取引相場のない株式の評価」
株式の評価額を計算するにあたり、株式に関連する専門用語が多数登場するため、専門家によるアドバイスはどうしても必要になってくると思います。
相続や株式の評価方法についてわからないことがありましたら、
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