相続財産の評価方法⑥「公社債の評価のポイント-前半」|八王子・多摩の相続なら

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
今回は公社債の評価方法について解説していきます。

公社債とは国や地方公共団体、事業会社などが一般投資家から資金を調達するために発行する有価証券のことです。

相続財産の評価においては、公社債を銘柄ごとに100円当たりの単位で評価することになっています。

公社債は発行元により下記のように分類されます。

公共債:国債・地方債・政府関係機関債
民間債:事業債・金融債
外国債

また、利子の支払い方によって下記のように分類されます。

利付公社債(固定利付債):
発行元が公社債の持ち主に対し、返済期日までの期間中に一定の利子を支払う必要があり、満期になった時点で券面額(額面金額)を返還する公社債
利付公社債(変動利付債):
発行元が公社債の持ち主に対し、返済期日までの期間中に市場金利に連動して変わる利率で利子を支払う公社債
割引発行の公社債(ゼロクーポン債):発行元が継続して利子を支払う必要がなく、利子分を予め割り引いた価格で発行される公社債

相続について八王子・多摩で会計事務所を営む税理士がわかりやすい言葉で解説

【利付公社債の評価】

利付公社債とは、発行元から持ち主に対し返済期日まで定期的に利子が支払われる債券のことです。

利払いは年間の一定期日に、その債券に付いた利札(クーポン)を切り取って行われ、満期になった時点で券面額が返還される仕組みです。

利付公社債の評価にあたっては、その公社債がどこで取引されているのか等により計算方法が少し異なります。

金融商品取引所に日本証券業協会において→

売買参考統計値が公表される銘柄として↓

上場されている 上場されていない
選定されている (1) (2)
選定されていない (3) ×

<金融商品取引所に上場されている利付公社債の評価>

・金融商品取引所に上場されている

・日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定されている

このような利付公社債については、下記の計算式で評価額を計算します。

(課税時期の最終価額+源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額)×券面額÷100円

「課税時期の最終価額」については、

・金融商品取引所が公表する「最終価額」

・日本証券業協会が公表する「平均値」

のいずれか低い価額のものを用いて計算します。

※「課税時期」とは、相続の場合→被相続人の死亡の日贈与の場合→贈与により財産を取得した日のこと

※「最終価額」及び「源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額」は、券面額100円当たりの金額

※「源泉所得税相当額」には、特別徴収されるべき道府県民税相当額を含む

<日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された利付公社債(上場されているものを除く)の評価>

・金融商品取引所に上場されていない

・日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定されている

このような利付公社債については、下記の計算式で評価額を計算します。

(課税時期の平均値+源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額)×券面額÷100円

※「平均値」及び「源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額」は、券面額100円当たりの金額

※「源泉所得税相当額」には、特別徴収されるべき道府県民税相当額を含む

<その他の利付公社債>

・金融商品取引所に上場されている

・日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定されていない

・➀➁に該当しないもの

(発行価額+源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額)×券面額÷100円

※「発行価額」及び「源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額」は、券面額100円当たりの金額

※「源泉所得税相当額」には、特別徴収されるべき道府県民税相当額を含む

<個人向け国債>

個人向け国債については、課税時期に中途換金したと仮定した時、取扱機関から支払いを受けることができる価額により評価します。

参考:国税庁HP「No.4641 利付公社債・割引発行の公社債の評価

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