こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
著名な作家や音楽家の死後に、著作権を含んだ財産を巡って遺族が争うというニュースは珍しくありません。2019年には著作権法の改正もありましたので、著作権と相続の関係は再び重要なものになっています。
この記事では、「著作権の概要」から「相続との関係」や「相続税評価」までわかりやすく解説いたしますので、是非参考にしてください。
【著作権とは】
著作権とは、自分の思想や感情を創作表現したもので、文芸・学術・美術・音楽などの範囲に属するものに関する権利を指します。簡単に言えば、「作品は製作者のものであり、それを守る権利」が著作権と言えます。
- 著作権(財産権)…著作物の使用を許可して、使用料を受け取る権利
- 著作者人格権…著作物の公表や、名前を表示する権利
著作権は上記二つに分かれますが、一般的に著作権と言えば、前者の方になります。
本や音楽はもちろん、写真や自分で組んだプログラム、HPにも著作権はあります。
著作者人格権とは、未公表の作品をいつ発表するか決めたり、作品と共に自分の名前を表示するかを決めるものです。
【存続期間】
著作権は物を作った時点で生じるもので、基本的に登録や申請の必要はありません。
文化庁のシステムに著作権の登録システムがありますが
- ・作成日など著作権に関わる事実関係の証明を容易にすること
- ・著作権の発生・変更などを明確にすること
を目的としているだけで、同システムに未登録だと権利が生じないというわけではありません。
(第三者への対抗として必要です。)
また、著作権は存続期間が決められており、ものによっては製作者の死後も保証されます。
- 実名の著作物(認知度次第では実名でなくても可)…著者の死後70年
- 無名や団体の場合…公表や創作より70年
- 映画…公表や創作より70年
【相続との関係】
民法では、著作権も相続財産として相続の対象となります。相続するにあたって、特定の手続きはなく、遺言書や遺産分割協議で取得する相続人を指定します。
ただし、2019年7月1日施行された著作権法改正により、著作権を相続した場合は文化庁に登録をしておかないと第三者への権利の対抗ができなくなりました。後々のトラブルを考慮して、登録しておいた方が良いということです。
なお、著作者人格権は製作者自身に与えられる権利(一身専属権)であり、相続対象ではありません。
【著作権の相続税評価】
相続財産ということで、著作権にも相続税がかかってきます。
その際の相続税評価は、「年平均印税収入額×0.5×評価倍率」の数式で計算します。
ここでいう年平均印税収入とは、相続開始前の3年間における印税収入の平均額です。
また評価倍率とは、課税時期よりも後の各年の印税収入の額が「年平均印税収入の額」であるものとして、印税収入期間に応じた基準年利率による複利年金原価率を指します。
印税収入期間については、その著作物に詳しい専門家(本なら出版社、音楽ならレーベル)などの意見に基づいて推算したものです。基準年利率と複利年金現価率は国税庁のホームページで公表されています。
例えば、年平均印税収入が300万円で、評価倍率が20だった場合、
著作権の評価額は300万円×0.5×20=3,000万円となります。
【相続税対策や相続手続きに関するご相談】
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