農地を相続する際に注意すること【手続きや評価税方法】

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

農地の相続

故人が農地を持っていた時は、どうすれば良いでしょう。東京にも八王子や青梅に多くの農地があるので、所有されているご家庭もたくさんいらっしゃいます。

農地は相続時の手続きが普通の土地とはやや異なります。また、農地は食料供給源として貴重なもののため、相続人が安易に利用方法を変えたり売却ができないようになっています

加えて、相続税の評価方法も通常の計算とは違うので注意が必要です。
 

【農地相続には農業委員会への届け出が必須】

土地を相続した際は法務局で相続登記を行いますが、農地の場合は、相続登記に加えて農業委員会への届け出が必須となります。

農業委員会では農地の所有権の動きを把握して、有効利用しやすいよう画策しています。相続人の農地管理が難しい場合には、相談を受けたり、必要な場合は農地の借り手探しを支援したりします。

農業委員会への届け出に必要な書類は以下の通りです。

  • ・農地法の規定による届出書
  • ・相続登記後の登記事項証明書

相続登記後の登記事項証明書が必要となるので、相続登記自体も必須です。(通常の土地だと、現在(2020年8月時点)では必須化されていません。)

委員会への届け出は「相続開始を知った翌日から10ヶ月以内」と期限が決まっています。期限を過ぎると10万円以下の過料が科される可能性もあるので気を付けましょう。
 

【農地の相続税計算方法】

(1)農地の種類

農地の相続税評価は種類によって変わります。主な農地の種類は以下の四つになります。

  • 純農地…農業地区域内の農地や第1種農地、甲種農地など
  • 中間農地…第2種農地やそれに準ずる農地
  • 市街地周辺農地…第3種農地やそれに準ずる農地
  • 市街地農地…転用許可を受けた農地や市街化区域内にある農地、転用許可を要しない農地として各都道府県知事より指定のある農地

(2)各農地の相続税計算方法

  • 純農地…倍率方式
  • 中間農地…倍率方式
  • 市街地周辺農地…該当地が市街地農地である場合の80%相当
  • 
市街地農地…宅地批准方式倍率方式

倍率方式とは固定資産税額に決められた倍率をかける計算方法です。

固定資産税額は毎年送られてくる固定資産税の納税通知書か、土地を管轄する役場で確認します。評価倍率は、国税庁のHPから確認できます。

 
宅地批准方式は「評価額=該当する農地が宅地だった場合の評価額−造成費」で計算します。造成費とは農地を宅地に転用する際の費用で、地域ごとに定められた数値を使用します。

なお、市街地周辺農地や市街地農地の場合、相続税申告の際に「市街地農地等の評価証明書」が必要となります。
 

【農地の相続税評価は専門家に依頼を】

農地の相続税評価は通常の土地以上に専門知識が必要になってきます。
そのため相続と土地に詳しくない税理士の場合でも、評価額を間違えることがあります。

可能な限り、相続専門で土地評価に詳しい税理士を頼ってください。

評価方法を間違えて、少ない金額で申告してしまった場合は、過少申告として税金を多めに取られてしまいます。
 

【農地の相続に関するお悩みやご相談】

農地の相続や、そのほかの相続手続きについてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。