相続 で自動車を取得した時の対処方法とは 【名義変更】

自動車

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている 税理士 の古川顕史です。

遺産の中に自動車が含まれているケースは珍しくありません。もし、自動車を相続財産とし引き継ぐ場合、考えなければならないのが「名義変更」です。

自動車名義を故人のままにしておくと、後々の売却や廃車手続きに支障が出たり、税務や保険のトラブルにつながったりするからです。

本記事では、相続による自動車取得の際に必要となる名義変更の手続き方法や注意点を、できるだけわかりやすくご紹介していきます。

是非、参考にしてください。

【自動車名義変更の手続き期限】

まず、相続による自動車の名義変更はいつまでにすれば良いのか。

「道路運送車両法」では、所有者が変わった場合は「15日以内」に手続きを行うことと義務付けられています。つまり、「相続したらすぐに手続きする」と思っておくのがいいでしょう。

なお、期限を過ぎても名義変更ができなくなるわけではありません。ですが、手続き変更を怠った場合、50万円以下の罰金が科されると定められているので、その意味でもなるべく早めに手続きを済ませておくのが安心です。

【名義変更をしないままでいると…】

名義変更をしないデメリットは前述の罰金以外にもあります。

実は故人名義のままでは、その自動車の売却も廃車もできないのです。これらの手続きには、正式な所有者であることを証明する必要があるためです。

さらに、車の保険に関しても注意が必要です。たとえば事故を起こした場合、名義が故人のままだと、任意保険が適用されない可能性があり、自賠責保険の範囲内だけでしか補償されないといった事態になりかねません

また、名義変更がされていないと、車検を受けることも難しくなります

【名義変更手続きの流れと必要書類】

自動車の名義変更には、以下のような書類が必要となります。(内容は相続の状況に応じて若干異なる場合があります。)

  • ・申請書(運輸支局でもらうか、国交省・運輸局のホームページからダウンロード)
  • ・手数料納付書
  • ・車検証(原本)
  • ・車庫証明書(使用の本拠が変わる場合に必要。発行日から40日以内のもの)
  • ・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのつながりが分かるもの)
  • ・相続人全員の戸籍謄本
・相続人の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
  • ・委任状(代理人が申請する場合)

相続人が複数いる中で特定の人が車を相続する場合は、遺言書や遺産分割協議書の提出も求められます。

なお、相続する車の評価額が100万円以下であれば、「遺産分割協議成立申立書」という簡易な書類を用いることも可能です。

遺産分割協議成立申立書は、国土交通省やその地方支部局である関東運輸局などのWebサイトからダウンロードできます。

この場合は取得する相続人のみが署名・押印すれば足りますが、併せて車の評価額が100万円以下であることを証明する査定書類などの添付も必要です。

【手続きはどこで?運輸支局での申請方法】

自動車の名義変更は、その車が登録されている地域を管轄する運輸支局で行います。自分がどこの支局に行けばいいのかは、国土交通省のホームページで簡単に調べることができます。

▼国交省HP:全国運輸支局等のご案内

https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000034.html

手続きにかかる費用は以下のとおりです。

  • ・検査登録印紙代:約500円

  • ・ナンバープレート代(必要な場合):2,000~4,000円程度
  • ・車庫証明の取得費用:2,500~3,000円程度

ナンバープレートの変更は、住所の変更により管轄の運輸支局が変わる場合に必要です。

【軽自動車の名義変更は別の窓口へ】

相続の自動車が軽自動車である場合は、手続きの窓口が異なります。普通自動車のように運輸支局ではなく、「軽自動車検査協会」が手続きを担当しています。

軽自動車に関しては、遺言書や遺産分割協議書などの提出は原則不要です。これは、軽自動車の資産価値が比較的低いため、相続を巡る争いに発展しにくいとされているからです。

したがって、相続人が複数いる場合でも、そのうちの一人が単独で手続きを進められるようになっています。

【相続と自動車に関係する税金について】

自動車にかかる税金としては、以下の2つが挙げられます。

(1)自動車税

自動車税は毎年4月1日時点の所有者に対して課税されます。納付書が郵送で届くため、記載された期限内(多くは5月末日)に支払います。

名義変更が済んでいないと、納付書が故人の名義で届く可能性があるため注意しましょう。

(2)相続税

自動車も相続財産のひとつとして扱われるため、相続税の対象となります。預金や不動産と同様、相続税評価額を算出し、全体の遺産に含めて申告します。

評価額の算出には、中古車市場の売買実例や買取業者による査定価格が用いられるのが一般的です。もし評価額に迷う場合は、自動車販売店に査定を依頼するとよいでしょう。

【相続についてのお悩みは八王子相続サポートセンターへ】

相続により自動車を受け継いだ場合、忘れてはいけないのが名義変更の手続きです。この手続きを怠ると、売却や廃車ができなくなったり、保険・税金面で思わぬ不利益を被ったりする可能性があります。

必要書類の収集や運輸支局での手続きに不安を感じる場合は、専門家に依頼することもできます。

自動車の相続は意外と見落とされがちな分野ですが、確実に対応しておくことで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。