改正相続法のポイント①~配偶者にやさしい法改正(後編)|八王子・多摩の相続なら

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

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前回のコラムにおいて、改正相続法により施行される施策のうち配偶者居住権についてご説明しました。

今回も、前回に引き続き、配偶者に係わる施策を取り上げ、改正相続法がいかに残された配偶者にやさしいものであるかについてご説明します。

【まだある配偶者にやさしい施策!

このたびの相続法改正の最大の特徴は、“配偶者にやさしい法改正”であり、その具体的な施策として配偶者居住権をご紹介しました。

実は、そのほかにも“配偶者にやさしい施策”があります。それは、「配偶者短期居住権」と、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」という施策です。

配偶者短期居住権とは?

配偶者短期居住権とは、相続が開始された時(被相続人が死亡した時)に、被相続人が所有する建物に無償で住んでいた配偶者については、次の期間、その住宅に家賃などを支払うことなく住み続けることが認められます。

① 配偶者が居住建物(自宅)の遺産分割に関与するときは、居住建物の帰属が確定する日までの間(ただし、最低6か月間は保障されます)。

② 居住建物が第三者に遺贈された場合や、その配偶者が居住建物の相続を放棄した場合は、居住建物の所有者から消滅請求を受けてから6か月。

つまり、これまで住み続けた自宅について、相続財産としてどう取り扱われるかはっきりするまでの間や、その自宅が第三者の手に渡る場合も半年間は無償で住み続けることを認めた権利なのです。

これによって、残された配偶者が、相続開始とともに、住み慣れた自宅から、すぐに立ち退かねばならないという事態を回避できるようになるのです。

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産(自宅)または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで控除(配偶者控除)できるというものです。

ただし、この制度を利用して居住用不動産を贈与する場合には、不動産取得税登録免許税がかかります。

一方、居住用不動産を取得するための金銭を贈与する場合は、不動産取得税も登録免許税もともにかかりません。このように、相続と比べると税制上のメリットは限られてきますが、金銭で生前贈与する場合には、検討してみる価値がある制度と言えます。

このように、改正相続法では、長きに亘り生活を共にしている夫婦において、残された配偶者が、末長く安心して生活できるように配慮された施策が多く反映されており、配偶者にやさしい法改正であることがお分かりいただけたものと思います。

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