改正相続法のポイント②~争族から第三者を守る法改正(前編)|八王子・多摩の相続なら

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

相続について八王子・多摩で会計事務所を営む税理士がわかりやすい言葉で解説

前回のコラムでは、改正相続法の特徴として“配偶者にやさしい法改正”であることをご紹介しました。

今回は、改正相続法の別の特徴として、“争族から第三者を守る法改正”であることについて説明してまいります。

【争族から第三者を守る法改正とは?】

このたびの相続法改正については、相続そのもののあり方を変える重要な改正があります。それは、相続から第三者を守るための施策が反映されていることです。

相続させる旨の遺言によって遺贈された相続財産について、その遺贈の内容が特定の法定相続人に偏っているときに、相続争族となってしまうことがあります。

争族に発展すると、遺言によって特定の法定相続人に遺贈された相続財産に関して、他の法定相続人が自分の法定相続分を主張して、勝手にこれを処分して第三者に自分の相続分を第三者に譲渡(売却)するようなことが起きることがあります。

例えば、被相続人の父親が亡くなり、その子である長男と次男のみが法定相続人の場合、遺言で長男に遺贈されることになっていた建物について、これに反対する次男が自分の法定相続分を主張して、この建物の1/2を第三者である友人に売却したとします。

この場合、友人に売却された建物の1/2については、長男の相続財産となるのか、それとも友人の所有物になるかという問題が起きます。これを対抗関係と呼んでいます。

このようなケースにおける対抗関係については、現行の相続法と、改正相続法とでは変わってきますので要注意です。

【相続の効力を変更する法改正】

さきほどの事例では、現行の相続法においては、遺言により建物を相続した長男のものになります。

その根拠は、改正前の相続法では、相続させる旨の遺言によって取得した不動産の場合は、対抗関係にならないとされ、第三者である友人が、譲り受けた建物の1/2を登記したとしても、長男にその権利が帰属することになっています。

これは、「相続させる旨の遺言による権利の承継は、登記無くして第三者に対抗することができる」という裁判所の判例を受けたものになります。

しかしながら、改正相続法においては、この点の定めが変更となり、相続させる旨の遺言があっても、自分の法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えておかないと、第三者に対抗することができないこととになりました。

つまり、先ほどの事例における建物の1/2については、これを登記した次男の友人のものになる、ということになるのです。

このたびの相続法の改正では、このように相続の効力そのものを見直す改正がなされています。これによって、争族に巻き込まれた第三者を保護することを目指しているのです。

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