こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
相続税の計算はとても複雑で厄介です。本来の金額とは違う額で申告してしまう可能性もあります。もし、少ない金額で申告すると、「過少申告」として後々に追徴されてしまうので注意が必要です。
では、逆に高い金額で申告し、相続税を納め過ぎた場合はどうなるのでしょう。
結論を言えば、税金を多く支払うこと自体に問題はありません。ですが、払い過ぎたお金は自動的に返ってきません。
取り戻すには、ご自身で「還付の手続き」をする必要があります。
目次
【相続税を払いすぎてしまう原因】
(1)土地評価は複雑で難しい
相続財産で土地を取得した場合、相続税の還付が発生する可能性は高くなります。というのも、土地の評価には、さまざまな減額要因があるためです。
実際の土地評価はかなり複雑で難解なため、適切な評価額が算出できず、本来よりも高い額で相続税を払ってしまうのです。
土地評価は国税庁が毎年発表する「路線価」を基にして相続税評価額を計算します。しかし、でこぼこの不整形地や傾斜の強いがけ地などは、通常の平坦地よりも評価が低くなります。よって、実際には「路線価」を基準にした計算のみでは正確な評価は行えないのです。
(2)税理士でも相続税に詳しくない人がいる
税理士に依頼すれば正しい相続税を必ず算出してくれるわけではありません。
税理士は、それぞれ得意としている分野が異なり、相続税を専門としない場合もあるからです。相続税は件数自体が少ないため、経験の少ない税理士も多いのです。
(なお、税理士試験において「相続税法」は必須科目となっていません。そのため、税理士の資格を持っていても相続税について勉強したことがない方もいるのです。)
あまり詳しくない税理士に依頼してしまったことで、正しい土地の評価がされず、相続税が高額になってしまうといったケースもあります。相続税申告を依頼する際には、十分注意しましょう。
【相続税を払い過ぎても、税務署は教えてくれない】
相続税を払いすぎた場合、税務署から連絡をしてくることはありません。
税務署から連絡が来るのは、申告が必要なのに無申告でいる場合や計算間違いで過少申告となっていた場合のみです。税務署は不足分の修正は行いますが、払い過ぎはそのままになってしまうのです。
払いすぎた相続税の還付を受けたいのであれば、自身で気づいて還付申請をするしかないのです。
【還付の手続き】
相続税還付とは、相続税の申告書を見直し、払い過ぎた税金を返してもらう手続きです。正式には「更正請求」といいます。
手続きの流れは以下の通りになります。
↓
更正の請求書など、必要書類を提出する
↓
税務署側で審査が実施される
↓
更生通知書が届く
↓
指定口座に還付金が振り込まれる
更正請求書を提出してから指定口座に還付金が振り込まれるまでの期間は、更正内容によって前後しますが、大体6ヶ月くらいかかります。
土地の鑑定や、必要書類の準備なども含めると1年近くかかるケースもあります。
【還付の手続きにも期限がある】
相続税申告の期限は、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内となっていますが、還付(更正の請求)の手続きにも期限があります。
それは、「相続税の申告期限から5年」です。
相続開始からカウントすると5年10ヶ月以内となります。期限を過ぎてしまうと還付請求はもちろんできません。前述したように手続きには土地の鑑定や、必要書類の準備などにも時間がかかるので、注意しましょう。
なお、還付請求に、他の相続人の同意を得る必要はなく、個々人が単独で行うことができます。(他の相続人に知らせる必要もありません。)
また、各相続人の取得財産に応じてお金が戻されますので、再度分割協議をおこなう必要もありません。還付金は所得に該当しないので、所得税の確定申告や修正申告も不要です。
過払いに気づいたら、早急に準備を進めるか、税理士に相談しましょう。
【相続税のご相談は古川会計事務所・八王子相続サポートセンターまで】
相続税にはたくさんの控除制度があり、利用すれば節税になったり、申告の必要もなくなる可能性があります。
しかし、それらの控除制度の存在に気付かずに相続税を納めている場合もあります。自分自身で相続税の申告をするには相続税についてある程度の知識を持っていなければなりませんが、中々そのような方も少ないでしょう。
相続税の申告は人生で何度も行うものでもありません。よって、無理をせず専門の税理士に申告を代行してもらう方が間違いもありませんし、負担も軽くなります。
相続税についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターまでお気軽にお問い合わせください。
60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。