こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
相続税の申告において、「申告額を間違えている(納税額が不足)」「税金を不当に安くしようとしている」等の疑いがある場合、税務署職員が被相続人や相続人の自宅を直接訪問する「税務調査」を行うことがあります。
この税務調査は全ての申告者が対象ですが、実際に調査を受ける方は限られます。
では、調査に入られるのはどんな方なのか、本記事で解説いたします。
目次
【相続税の税務調査が入る割合とは】
国税庁が発表している資料によると、平成30年分の相続税の申告書提出に関わる被相続人は約11万6,341人(平成29年は約11万1,728人)で、実地調査件数は、平成30年は約12,463件(平成29年は約12,576件)という数字になっています。
これらのデータを見ると、およそ10%程度の割合で税務調査が行われていることがわかります。
税務署の職員さんも数が限られるわけですから、全ての申告者を調査するのも不可能です。よって、申告者を入念にチェックし、より疑いの強い方を選定した上で実地調査を行っているのです。
【調査が入りやすいケースとは】
税務調査が入るのは、税務署側が申告内容に疑問や不審を強く抱いているからです。要するに、問題視されやすい要素を抱えている方は税務調査に入られやすいと言えます。
具体的なケースを見ていきましょう。
(1)申告に不備がある場合
税額計算に間違いがある、添付書類が不足している等、申告に不備がある場合は税務調査の対象になってしまいます。
相続税の申告はある程度の知識が必要な上、期間も決まっているので、相続人自身が行う場合は間違いが起こりやすいので要注意です。
(2)遺産総額が多く納税額が高い
相続税申告における遺産総額の平均値は2億円程度ですが、それを超える金額(3億円以上)の場合は、税務調査が入る可能性は上がります。
というのも、財産が多いと計算の間違いや見逃しのリスクが高まるからです。また、ミスだけなく意図的な財産隠しも疑われやすいのです。
(3)相続財産に金融資産が多い
金融資産は不動産などに比べると評価計算が簡易です。税務署にとっても解釈が難しい不動産よりも、評価基準が明確な金融資産の方が追徴が容易ということです。
なお、預貯金の出入が多い場合は、被相続人が生前に相続税対策として財産移転をしていたのではないかと疑われるため、調査が入りやすくなります。
(4)税理士を活用していない
税理士に申告を依頼していた場合、相続税申告書の第1表の右下に署名捺印がされます。空欄であれば、税務署側は「無資格者が自分で申告をした」ということでミスを疑います。
税理士の署名捺印がないだけで信頼度が低くなり、調査される確率は上がるのです。
(5)無申告の方
相続税が無税だと思って、申告をしなかった場合にも税務調査が入る可能性はあります。
相続税には基礎控除があって財産総額がそれを下回る場合は、相続税は発生しません。ただし、計算ミスや財産の見落としがあり、実は相続税が発生していた、というケースもあるのです。
【税務調査を避けるには】
税務調査を避けるには、やはり申告を相続専門の税理士に依頼することです。前述した通り、相続税申告書の第1表に税理士の署名捺印がないだけで、税務署は「個人作成だから税額計算に間違いがある」という目線になり、疑いやすくなるのです。
署名欄を埋めたから絶対安全とも言えませんが、リスクを減らせることに違いはありません。また、調査がやってきても税理士がいるので、納税者に不利な提案や指摘を回避することができます。
このように税理士に申告を依頼することは税務調査に有効な対策なのです。
ただし、依頼するのは税理士なら誰でもいいわけではありません。相続関係を専門にしているか、経験が豊富かどうかを必ずチェックしましょう。それらの要素はホームページでチェックできますが、無料相談などを利用し、実際に面談して確認しましょう。
【相続税の申告や税務調査対策などご相談ください】
相続税の申告に関してお悩みがありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。