改正相続法のポイント①~配偶者にやさしい法改正(前編)|八王子・多摩の相続なら

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

相続について八王子・多摩で会計事務所を営む税理士がわかりやすい言葉で解説

既に相続法改正のポイントは相続コラムでご説明しておりますが、この改正相続法は、原則的に2019年7月1日から施行されることになりますので、それに先立ち、今回と次回の二回にわたり配偶者に係わる施策に焦点を当ててご説明いたします。

配偶者にやさしい改正相続法

このたびの相続法改正の最大の特徴と言えるのは、“配偶者にやさしい法改正”であることです。

具体的には、配偶者居住権配偶者短期居住権という二つの権利の創設や、夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除など、残された配偶者が、末長く安心して暮らしが立てられるような、やさしい施策が多く盛り込まれているのです。

配偶者居住権(長期居住権)とは?

配偶者居住権」とは、相続が開始された時(被相続人が死亡した時)に、被相続人が所有する建物に住んでいた配偶者については、原則として家賃などを払うことなく、その住宅に住み続けることが認められる権利です。

この配偶者居住権は、配偶者短期居住権との対比から配偶者長期居住権とも呼ばれ、残された配偶者が亡くなる時まで、住んでいる建物を利用できる権利です。

これは、例えば、自宅を配偶者以外の者に相続させるとの遺言があった場合、自宅を相続した相続人から立ち退きを求められて路頭に迷うこともあることから、残された配偶者が、住み慣れた自宅で安心して暮らしていけるようにするために設けられた制度なのです。

配偶者居住権はどうやって得られるのか?

配偶者居住権は、①遺産分割、②遺贈・死因贈与、③家庭裁判所の決定のいずれかによって成立します。ただし、相続開始の時に、被相続人が、この自宅を配偶者以外の者と共有していた場合は、配偶者居住権は認められません。また、配偶者には、この権利の対抗要件として、配偶者居住権の設定登記を備える必要があります。

配偶者居住権のメリット

この配偶者居住権は、自宅の所有権ではなく、あくまでその自宅に住み続けることができる利用権になります。

そして、遺産分割協議では、この権利の財産的価値を相続したものとして取り扱われます。このため、自宅の絶対的な支配権である所有権と比べると、その財産的価値が低くなるのです。

このことが、実は残された配偶者にとってはメリットになるのです。なぜなら、相続した財産の財産的価値が低くなれば、その分、その他の相続財産を多く手にすることができるからです。

自宅そのものを所有権として相続した場合よりも、自宅以外の預貯金や有価証券などを多く相続することができるため、その後の生活に必要となる生計費も多く手にすることができるようになるのです。

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