相続税の税務調査|狙われやすいケースを八王子・多摩エリアの税理士が解説

本記事の概要
相続税の税務調査は、毎年秋(8月〜11月)に本格化します。名義預金やタンス預金、生前贈与の申告漏れなど、八王子・多摩エリアで狙われやすいケースを現場の視点から具体的に解説。突然の連絡に慌てず、重いペナルティを防ぐための正しい対応策をお伝えします。
こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
ご家族がお亡くなりになり、悲しみのなか膨大な資料を集めて無事に相続税の申告を終えた。ホッとしていたのも束の間、ある日突然税務署から「税務調査に伺いたい」と電話が来たら……。「何か悪いことをしてしまったのか」と不安になりますよね。
税務調査には「狙われやすい時期と明確なターゲット」が存在します。なぜ秋に調査が集中するのか。八王子や多摩エリアのご家庭でとくに注意すべきポイントはどこにあるのか。現場の視点から詳しくお伝えします。
【相続税の税務調査は秋(8月〜11月)に本格化します】
■なぜ秋に税務調査の連絡が来やすいのか?
税務署の大きな人事異動が行われるのは毎年7月。新体制が整い、実務上、夏以降に税務調査の連絡が増えるといわれています。
春先の所得税の確定申告など、税務署内の繁忙期が落ち着くのが初夏。そこから提出された相続税の申告内容をじっくりと精査し、秋に一斉に実地調査へと動くというわけです。
■税務調査の対象になる確率と、選ばれやすい家庭の特徴
国税庁の統計をひも解くと、相続税の申告をした方のうち、およそ10%〜20%が税務調査(実地調査)の対象になっています。令和6事務年度では全国で9,512件の実地調査が行われました。
とくに狙われやすいのは「過去の所得状況と比べて、申告された遺産額が少なすぎる」ケース。税務署は「KSK(国税総合管理)システム」という独自のネットワークを通じ、亡くなった方やご家族の申告・納税情報や各種資料を横断的に確認しています。
税理士の署名がない「ご自身で申告した」ケースも要注意。特例の適用誤りや単純な計算ミスが疑われやすく、調査官の厳しいチェックが入ります。
【八王子・多摩エリアで税務調査に狙われやすい3つのケース】
(1)「名義預金」が疑われるケース
税務調査で最も多く指摘されるのが名義預金。口座の名義は配偶者や子どもであっても、実質的に亡くなった方(被相続人)が管理し、資金を出していた預金のことです。
「孫の進学資金のために内緒で積み立てていた」という温かい親心であっても、通帳や印鑑を亡くなった方が管理していれば、実質的な所有者は被相続人とみなされ、相続財産として申告しなければなりません。
(2)タンス預金など現金の「申告漏れ」
ご自宅の金庫や引き出しに保管されているタンス預金。これも税務署の目はごまかせません。
生前に多額の現金が口座から引き出されているのに、医療費や生活費といった明確な使途が不明確。かつ、財産にも計上されていないとなれば、調査官から鋭く追及されることになります。
■関連記事:自宅から出てきた現金は申告しないで隠し通せるか?税務調査から逃げ切れる?
(3)「生前贈与」の認識ズレと、不動産の評価額の誤り
八王子や多摩エリアには古くからの地主さんが多く、広大な農地や生産緑地を引き継ぐご家庭も少なくありません。多摩丘陵に代表されるような傾斜地、あるいは形がいびつな不整形地が多いのも地域柄。
こういった複雑な土地は「小規模宅地等の特例(要件を満たすとご自宅の土地の評価額を最大80%減額できる制度)」の適用判断が非常に難しいです。ご自身で申告すると評価額を誤ってしまうことが多発します。税務署もこうした「不動産評価のブレ」を熟知しているため、的確に指摘してくるのです。
【税務署から連絡が来たら?トラブルを未然に防ぐ対応策】
■ご自身だけで対応せず、すぐに相続に強い税理士へ相談を
税務署から調査の連絡が来ても、慌てる必要はありません。ただ、調査官の質問に対して曖昧な記憶で回答してしまうと、思わぬ財産隠しの疑いをかけられる恐れがあります。
判断に迷う場合は、無理にご自身だけで進めようとせず、速やかに相続の専門家に相談することを強くお勧めします。
■関連記事:税務署と税理士、相続税の相談はどちらの方が良いか
■参考:税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)
■ペナルティ(加算税)を最小限に抑えるための事前準備
調査によって申告漏れが指摘されると、本来納めるべき税金に加えて「過少申告加算税(10%〜15%)」や「延滞税」といったペナルティが課されます。
隠蔽・仮装がある場合、過少申告に代わる重加算税は原則35%、無申告に代わる場合は原則40%、と非常に重い罰則が課されることも。
税務調査の事前通知が来た段階からでも、税理士は立ち会いサポートが可能です。専門家が間に入ることで税務署の不当な指摘から依頼者を守り、交渉をスムーズに進めることで精神的な負担を大幅に軽減できます。
■関連記事:相続で重加算税が課せられることはあるのか【脱税・所得隠し】
【まとめ】
親族間トラブルなく無事に遺産分割協議を終え、法定相続人の間で円満な相続ができた。そう安心しきっていた矢先に多額のペナルティが発生しては元も子もありません。事前の正確な財産評価と、もしもの時のプロのサポート。この両輪が、大切なご家族と財産を守る鍵になります。
相続手続きに関するご不安や疑問がございましたら、八王子・多摩エリアで豊富な実績を持つ古川会計事務所・八王子相続サポートセンターまで、どうぞお気軽にご相談ください。70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。
【よくある質問(Q&A)】
Q1:税務調査の連絡は、ある日突然自宅に来るのでしょうか?
A1:基本的には、事前に電話で税務調査を行う旨と日程調整の連絡が入ります。悪質な財産隠しが疑われるごく一部のケース(無予告調査)のみ事前の連絡なしで訪問されることもありますが、急な訪問には「税理士に相談してから日程を決めます」と伝えていただいて問題ありません。
Q2:遺産総額が基礎控除額ギリギリでした。申告していませんが調査されますか?
A2:申告をしていない場合でも、税務署が「基礎控除を超えており、申告義務があるのではないか」と判断すれば、お尋ねの文書が届いたり無申告に対する税務調査が行われたりします。ご自身が把握していない名義預金などが加わると基礎控除を超えることがあるため注意が必要です。
Q3:自分で申告した内容が不安です。連絡が来る前に税理士に見直してもらえますか?
A3:はい、可能です。税務調査の事前通知が来る前であれば、申告内容の誤りを直して自発的に「修正申告」を行うことで、過少申告加算税などのペナルティ負担を免除、あるいは大幅に軽減できる可能性があります。少しでも不安があれば、調査連絡が来る前に一度ご相談ください。

八王子相続サポートセンター所長。早稲田大学商学部卒業。あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。
相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数
「法律顧問」も加えて「相続問題」をワンストップで解消するべく、「八王子相続サポートセンター」を開設いたしました。
八王子・多摩地域における長年の実績をふまえ変化する税制をフォローし、事前・事後の対策如何にかかわらず
「円満な相続」「否認されない相続税申告」を目指し、邁進してまいります。