2026年度税制改正:貸付用不動産の相続税評価見直しを解説

【この記事の要約】
2026年度の税制改正により、取得から間もない貸付用不動産を利用した過度な相続税の節税対策が厳格化される見通しです。
本記事では、評価方法がどのように変わるのか、八王子・多摩エリアにおける不動産対策の注意点と今後のポイントを税理士が分かりやすく解説します。
こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
アパート建築や投資用不動産の購入は、長年にわたり「相続税対策の王道」として広く知られてきました。
しかし、「不動産を買って貸し出すだけで大幅に節税できる」という常識は、今まさに転換期を迎えているかもしれません。
2026年度(令和8年度)の税制改正大綱において、貸付用不動産の評価方法に関する見直し(※参考:国税庁HP)が盛り込まれ、行き過ぎた節税対策に待ったがかかる形となりました。今回は、この税制改正のポイントと、今後の相続税対策への影響について詳しく解説していきます。
【2026年度税制改正の背景にあるもの】
なぜ今、貸付用不動産の評価方法が見直されることになったのでしょうか。
その背景には、「不動産の市場価格(時価)」と「相続税を計算する際の評価額」の間に生じる、大きな「乖離(ギャップ)」の問題があります。
通常、現金をそのまま持っていれば1億円は1億円として評価されます。
しかし、その1億円でアパートを建築したり、タワーマンションの一室を購入したりすると、路線価や固定資産税評価額をベースに計算されるため、相続税評価額が3,000万円〜4,000万円程度にまで下がるケースが珍しくありません。
この仕組み自体は法律違反ではありませんが、相続の直前に多額の借金をして不動産を購入し、相続税を不当にゼロにするような「過度な節税」が横行したため、国税庁も問題視するようになりました。
公平性を保つため、実態に即した評価ルールへと見直しが行われることになったのです。
【貸付用不動産の評価方法はどう変わったのか?】
今回の改正により、特に注意が必要なのが「取得してから間もない貸付用不動産」の扱いです。
【取得から3年以内の物件は実質的に時価評価へ】
改正の具体的な内容として、相続開始前3年以内に取得した貸付用不動産(土地・家屋)については、原則として従来の「路線価等による評価」ではなく、「通常の取引価額(取得価額など)」をもとに評価されることになります。
※補足:国税庁等の正式なルールにおいては、過去のマンション評価見直し等で「5年」が基準となるケースや、貸付事業用宅地等における「3年以内」の特例除外ルールなどが混在しています。本記事の「3年」は特定条件における目安として解説していますが、実務上の詳細な要件やご自身の状況については、必ず専門家へご確認ください。
つまり、「相続の直前に駆け込みでアパートを建てて評価額を下げる」といった従来の手法が封じられる可能性が高くなりました。
ただし、以前から所有しており、長年賃貸経営を続けている物件については、引き続き従来の評価方法が適用される見込みですので、すべての不動産が対象になるわけではありません。
【不動産小口化商品への影響と注意点】
また、都心の一等地のビルなどを一口数百万から購入できる「不動産小口化商品」も、有効な相続税対策として人気を集めていました。
しかし、こうした商品についても、取得時期にかかわらず実質的な時価評価へとルールが厳格化される方向で議論が進んでいます。
すでに商品を購入されている方は、今後の評価額の変動について、一度専門家とシミュレーションをしておくことをおすすめします。
【八王子・多摩エリアで不動産を活用した相続税対策を行うには】
八王子や多摩エリアには、古くから代々受け継いできた広い敷地や、農地などを所有されている地主の方が多くいらっしゃいます。
こうした土地を活用してアパートや駐車場を経営することは、地域貢献や固定資産税対策としても依然として有効な選択肢です。
今回の改正で重要になるのは、「駆け込みの対策」ではなく、「計画的な長期運用」です。
例えば、相続が発生するずっと前からアパート経営を安定的に行っていれば、改正後も特例(小規模宅地等の特例など)を活用し、適正に評価額を下げることが可能です。
また、古いアパートの修繕や、空き家となっている実家のリフォームなど、既存の資産価値を高めつつ対策を行うことも一つの方法といえます。
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【よくあるご質問(Q&A)】
Q1. すでに5年前に建てたアパートも、新しい評価方法になってしまいますか?
A1. 相続開始前3年を超えて保有している貸付用不動産であれば、基本的には従来の路線価等による評価が適用される見込みです。ただし、個別の状況によって異なりますのでご注意ください。
Q2. 自宅として住んでいる不動産にも影響はありますか?
A2. 今回の見直しは主に「貸付用(賃貸用)」の不動産がターゲットとなっています。
ご自身が居住しているマイホームについては、基本的には従来通りの評価方法や特例(小規模宅地等の特例)が適用されます。
Q3. これから八王子市内に賃貸アパートを建てるのはやめた方がいいでしょうか?
A3. 相続税対策「のみ」を目的とした直前の建築はリスクが高まりますが、長期的な家賃収入を目的とした事業計画がしっかりしている場合は、依然として有効な資産運用です。
不動産会社のシミュレーションだけでなく、税理士を交えた手残り金額の計算をおすすめします。
Q4. 今回の税制改正はいつから適用されるのですか?
A4. 法律の施行日以後に発生した相続や贈与から適用される予定です。今後の国会の動向や詳細な通達によって時期や内容が確定するため、最新の情報を常にチェックすることが大切です。
【相続税の最新ルールのご相談は古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへ】
税制は毎年少しずつ変化しており、過去の常識が今では通用しないというケースは珍しくありません。
インターネット上の古い情報を鵜呑みにして対策を進めてしまうと、思わぬ税負担を強いられる可能性があります。
「うちのアパートの評価はどうなるのだろう?」
「数年前に買った不動産対策はこのままで大丈夫だろうか」
と不安に感じる方は少なくありません。
不動産を活用した相続税対策や、ご自身の財産の正確な評価額を知りたい方は、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
最新の税制に基づき、最適なシミュレーションとアドバイスをご提供いたします。

八王子相続サポートセンター所長。早稲田大学商学部卒業。あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。
相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数
「法律顧問」も加えて「相続問題」をワンストップで解消するべく、「八王子相続サポートセンター」を開設いたしました。
八王子・多摩地域における長年の実績をふまえ変化する税制をフォローし、事前・事後の対策如何にかかわらず
「円満な相続」「否認されない相続税申告」を目指し、邁進してまいります。