こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
遺言書にもルールがあります。つまり、ルールに沿って正しく作られてない場合、その遺言書は相続で効力を持たなくなってしまいます。
そのため、遺言書が有効なのか、または無効かの判断基準を知っておくべきです。
目次
【有効か無効かの判断】
遺言書については、明らかに無効なもの以外は、裁判で判断されることになっています。では、その判断基準はどのようなものがあるのでしょうか。
一つは「民法の規定に従ったものであるかどうか」です。遺言書にもルールがあり、そのルールに沿っていないものは無効となるわけです。
もう一つは「意思表示に関する要件を満たすかどうか」です。遺言書は自身の財産処分に関する意思表示なので、まともな意思表示ができない=判断能力や認知力に欠ける状態で作成されたものや、第三者に強制的に書かされたものは無効になるのです。
【無効となる事例】
(1)様式間違い
遺言書はそれぞれに決められた様式があります。
各様式に沿って作成していなければ、その遺言書は無効となります。
例えば、自筆証書遺言の場合は以下のようなルールがあります。
- ・財産目録部分以外が自書であること
- ・署名押印をしている
- ・日付が記載されている
- ・修正部分がある場合、様式に従って修正されている
これらが守られていない場合、遺言書は相続において効力を持ちません。自筆証書遺言は様式不備が起こりやすいので、特に注意が必要です。
不安な場合は、自筆証書遺言保管制度を利用します。この制度を利用すると、専門の担当官が確認をしてくれるので、様式不備となる心配がありません。また、相続開始まで遺言書を保管してくれるので、紛失や改ざんのリスクも無くなります。
公正証書遺言の場合も公証役場の担当者が作成を代行するので、様式不備の心配はありません。
(2)内容が曖昧
遺言書は第三者が見てもわかるような内容である必要があります。よって、曖昧な表現を用いるのではなく簡潔に書きます。財産についても相続人がすぐに特定できるように明確に記載します。
なお、先述した自筆証書遺言保管制度は遺言書の内容まではチェックしないので注意しましょう。
(3)共同遺言
2人以上で同じ遺言書を残すことは禁止されています。これは、「共同遺言」の禁止といいますが、これに違反すると遺言書は無効となります。
仲の良い夫婦であれば、共同で遺言を残すことを考えるかもしれません。しかし、共同遺言をしてしまうと一人の遺言書としても無効になってしまいます。
(4)代理遺言
遺言書は必ず本人の意思によるものでなければなりません。そのため、過去に被相続人が話していた内容を、第三者が伝える「代理遺言」は無効です。
(5)遺言能力の低下
遺言作成時に「遺言能力」が無ければその遺言書は無効となります。遺言能力の低下とは判断力や認知力が低くなっている状態です。
ただし、遺言能力の低下=認知症にかかっているということではありません。遺言力があるかどうかは、遺言内容、遺言当時の遺言者の状態などと総合して判断されます。
【検認は有効か無効かを決めるものではない】
遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在と記載内容を知らせること、内容を明らかにして偽造や変造を防ぐ手続きです。遺言書の内容とは、形、加除訂正の状態、日付、署名等です。
相続が開始されて遺言書が見つかった場合はこの検認手続きをしなければなりませんが、検認は遺言書が有効かどうかを判断するものではありません。有効か無効かの判断は、それが明らに無効である以外、裁判で争われることになります。
「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」は検認が必要となります。
「公正証書遺言」については原本が公証役場内に保管されており、作成も公証人が筆記するため、書類不備や偽造・改ざんの恐れがなく、検認が不要となっています。
【遺言書作成や相続手続きに関するご相談】
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