意外な盲点?相続における「貸金庫」の重要性と手続きとは

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銀行

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている 税理士 の古川顕史です。

銀行の貸金庫は、銀行が行なっている保管サービスです。強固なセキュリティ環境のため、重要書類(権利証・遺言書)や貴金属などを安心して預けることができます。

故人が貸金庫を利用していた場合、その中身はすべて「相続財産」として扱われます。もし、家族が中身を知らなくても、税務署は銀行への照会を通じて貸金庫の有無を把握できるため、申告漏れに注意しましょう。


【貸金庫の有無を確認する方法】

「貸金庫を契約しているか分からない」場合、以下の3つのポイントをチェックしてみてください。

  • 通帳の振替履歴を見る…最も確実な方法です。通帳に「カシキンコ」「金庫手数料」といった名目で、数千円〜数万円の引き落としがないか確認しましょう。通常、1年分をまとめて支払っているケースが多いです。
  • 銀行からの通知物やカギを探す…銀行から届く「貸金庫使用料のお知らせ」といったハガキや、見慣れない形状のカギ、カードキー、契約書の控えなどが遺品の中にないか探します。
  • 取引のある銀行に直接問い合わせる…心当たりのある銀行の窓口で「相続人」として照会をかけることができます。


【貸金庫を開けるには「共同作業」が必要】

貸金庫の存在がわかっても、相続人が一人で勝手に開けることはできません。銀行によりますが、原則として「相続人全員の立ち会い」、または「全員の同意書(印鑑証明書付き)」が必要になります

相続人全員の立ち会いが前提になっているのには理由があります。

立ち会いの後に「金目のものが入っていたはずなのに、勝手に持ち出したのではないか?」と他の親族間で疑われ、遺族間のトラブルになる可能性が高いからです。

よって、相続人全員の立ち会いが推奨されます。とはいっても、相続人全員で立ち会うためにスケジュールを合わせるのも大変なので、第三者を立ち会わせる方法もあります。

「相続人代表+税理士(または公証人)」の組み合わせで開扉し、第三者の目で「財産目録」を作成・署名してもらうことで、公平性を担保できます。


【貸金庫を開けるためのステップ】

(1)銀行への連絡と事前予約

まずは、亡くなった方が利用していた銀行の支店へ連絡します。
「相続が発生したので貸金庫を開扉したい」と伝えます。

担当者から必要書類の案内がありますので、立ち会う日時を予約します(銀行の担当者が同席するため、飛び込みでは対応してもらえません)。

(2)必要書類の準備

銀行によって細かな違いはありますが、一般的に以下の書類がセットで必要になります。

  • 亡くなった方の除籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書(発行から3〜6ヶ月以内)
  • 銀行指定の承諾書(または同意書)
  • 貸金庫のカギ・カードキー(紛失している場合は、別途「紛失届」やシリンダー交換費用(数万円程度)が必要になることがあります。)
  • 本人確認書類(当日立ち会う方の免許証など)


(3)当日の開扉と「財産目録」の作成

予約した日時に銀行へ行き、個室で金庫を開けます。
銀行員は「中身の立会い」はしますが、原則として「中身の鑑定や計算」はしてくれません。その場で何が入っていたかデジカメやスマホで撮影し、リストを作ります。

相続人全員の同意があれば持ち出せますが、遺産分割協議が終わるまでは銀行の保護下に置く(再契約する)ケースもあります。


【現金以外の中身はどう評価する】

貸金庫の中には、現金だけでなく多種多様なものが入っている可能性があります。それぞれどのように評価し、税額を決めるのか見ていきましょう。

(1)貴金属・ジュエリー(金塊、指輪など)

これらは、「所有者が亡くなった日の時価」で評価します。金や純金コインは亡くなった日の金相場(買取価格)を調べましょう。

宝石などは、宝石1点ずつどのくらいの価値があるのかを明確にしていきます。個別計上する場合は、5万円以上かどうかで分けると良いでしょう。


(2)有価証券(株券、国債など)

最近は電子化されていますが、古い株券や非上場企業の株式、公社債などが保管されていることがあります。

  • 上場株式:亡くなった日の最終価格や、直近3ヶ月の平均額のうち、最も低い額を採用できるルールがあります。
  • 非上場株式:会社の資産状況などから複雑な計算が必要になるため、評価額の算定は税理士に相談しましょう。


(3)不動産の権利証(登記済証・登記識別情報)

これ自体に金銭的な価値はありませんが、記載されている物件を「相続財産」として評価し直す必要があります。貸金庫に権利証があることで、家族も知らなかった遠方の土地が見つかることも珍しくありません。


(4)骨董品・美術品・書画

一律の基準がないため、原則として「売買実例価額」や「精通者による鑑定評価額」で判断します。よって、プロの鑑定に依頼することをお勧めします。


【貸金庫のトラブルを防ぐためのアドバイス】

相続が発生してから貸金庫を開けるのは、実はかなり手間がかかります。

もし、可能であれば、家族に貸金庫の場所とカギの保管場所を伝えておくだけでも、相続時の負担は減ります

また、貸金庫の中身を整理する際に「写真」を撮っておくことも良いでしょう。何が入っていたかを残すことで、遺産分割協議がスムーズに進みます。

 

【相続の相談は八王子相続サポートセンターへ】

貸金庫は「大切なものを守る場所」ですが、相続においては「開けるまで中身がわからないブラックボックス」になりがちです。

現金以外のものが出てきた場合、その評価には専門的な知識が必要になるケースも多いです。

評価方法に迷ったら、税理士にご相談ください。適切な評価を行い、相続税申告までのお手伝いをいたします。

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。