仮想通貨(暗号資産)を 相続 する際に注意したい点とは

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている 税理士 の古川顕史です。
ここ数年で一般にも浸透された「仮想通貨」。浸透されたとは言っても、実際にどのようなものなのか、まだイメージがつかみにくい方も多いでしょう。
仮想通貨はその名の通り“仮想”の通貨であり、「デジタル上で取引されるお金」です。投資・送金・決済など、現在ではその使い道も広がっています。
仮想通貨もお金であり資産のため、相続の対象になります。そのため、ご自身の配偶者や両親が仮想通貨を保有している場合は、相続での手続き方法や相続税評価方法を押さえておくべきです。
【仮想通貨の基本の仕組み】
(1)仮想通貨とはデジタル版のお金
冒頭でも触れたように、仮想通貨は物理的な形はなく、「インターネット上でのみ取引されるデジタルなお金」です。日本円やドルなどの法定通貨と違い、国や中央銀行が発行・管理しているわけではありません。
代表的な仮想通貨としては「ビットコイン」や「イーサリアム」が有名です。
(2)ブロックチェーンという仕組みで動いている
仮想通貨は「ブロックチェーン」と呼ばれる技術の上で動いています。ブロックチェーンは、取引履歴を分散的に記録する台帳のようなもので、みんなが同じ情報を共有・確認することで、安全性や透明性を保っています。
つまり「特定の誰かが管理する」のではなく、「みんなで監視・承認している」仕組みです。
この仕組みにより、銀行などの仲介機関を介さずに、個人同士が直接取引できるのが大きな特徴です。
(3)投資・送金・決済など使用用途は広がっている
仮想通貨は投資対象として注目を集めています。価格が日々変動するため、株式や為替のように売買による利益を狙う人が多くいます。
また、国境を越えて低コストで送金できる点や、ネットショッピング・リアル店舗での支払いに利用できる事例も増えており、実用的な使い道も広がりつつあります。
【仮想通貨と暗号資産の違い】
「仮想通貨」は元々の呼び方です。ビットコイン登場時の2009年以降、日本では長らくこの呼び名が使われてきました。
しかし、2019年の資金決済法改正によって、法律上の正式名称が「暗号資産」に変更されました。理由は、「通貨」という言葉が“法定通貨”を連想させるため、誤解を避ける目的があったからです。
なので、呼び名は違えど仮想通貨と暗号資産は同じ意味です。
【仮想通貨も相続税の対象】
仮想通貨は、現金や預貯金と同じように相続の対象です。
評価額は、「被相続人の死亡時点における市場価格(時価)」で計算されます。
具体的には、
- 被相続人が利用していた取引所の価格
- 主要なマーケット価格(複数取引所の平均など)
を基準に、死亡日の終値や平均値を採用するのが一般的です。
相続税は円で申告するため、死亡時のレートを使って日本円換算した金額で評価します。
【手続きで困らないために】
(1)取引所の口座・ウォレット情報の把握が不可欠
仮想通貨には紙の通帳や印鑑がありません。相続人が資産の存在を知らなければ、そもそも発見できないままになる可能性があります。
そのため、
- どの取引所に口座があるか
- ウォレットのアドレス
- ID・パスワード・秘密鍵の情報
などを生前にリスト化しておくことが、相続トラブル防止に不可欠です。
パスワードや秘密鍵についてきちんと伝えていない場合には、相続人がビットコインを回収するということは不可能となります。
なお、相続人が仮想通貨のパスワードを知らなくても課税はされます。
(2)手続き方法が通常の金融資産と異なる
手続きは取引所やウォレット運営会社ごとに違います。
日本の取引所なら、戸籍謄本や相続人の確認書類を提出して「名義変更」「出金」などの対応を受ける形になりますが、海外取引所の場合は国内取引所よりも手続きが複雑になるので注意が必要です。(海外取引所は日本語対応していないことが多いため。)
(3)遺言書で承継方法を明確にしておく
仮想通貨は分割が難しい資産ではありませんが(ビットコインの小数点単位で分割可能)、管理情報が複雑なため、遺言書で「誰に」「どのウォレットを」「どのくらい渡すか」を指定しておくとスムーズです。
相続人のために手続き方法もまとめておくと便利です。
【価格変動リスクにも注意】
仮想通貨は死亡時の時価で評価して申告しますが、その後に価格が下落することがあります。
相続税は申告期限(10か月以内)までに現金で納める必要があるため、仮想通貨を売却して納税資金を用意する際に損失が出る可能性があります。
このため、早めに換金や納税資金の確保を検討しておくことが大切です。
【相続対策は八王子相続サポートセンターへ】
相続税など、相続対策をしたい場合は、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。
60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

八王子相続サポートセンター所長。早稲田大学商学部卒業。あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。
相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数
「法律顧問」も加えて「相続問題」をワンストップで解消するべく、「八王子相続サポートセンター」を開設いたしました。
八王子・多摩地域における長年の実績をふまえ変化する税制をフォローし、事前・事後の対策如何にかかわらず
「円満な相続」「否認されない相続税申告」を目指し、邁進してまいります。