生前贈与に必須となる贈与契約書について

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

贈与契約書

1年間に110万円まで非課税で財産を譲渡できる生前贈与ですが、贈与の際に、やりとりの内容を明記した「贈与契約書」を作成しておくことが重要になります。

贈与契約書は、贈与者・受贈者に合意があったこと、贈与自体があったことを第三者や税務署に証明できる書面だからです。契約書があることで税務署から贈与を否定される可能性も少なくなり、様々なリスクを回避できるようになります。

ですが、契約書が必要だと分かっていても、何を書いたらいいのか分からないという人は少なくないでしょう。そこでこの記事では、贈与契約書の書き方や注意点について解説いたします。
 

【贈与契約書の必要性】

生前贈与を行う場合、「贈与行為の成立要件」を満たさなければなりません。

  • ・贈与する側とされる側の双方の合意
  • ・贈与された側が財産を自由に使えること
  • ・贈与行為の証拠がある

もし、上記ポイントが一つでも欠ける場合には税務署から否認され、贈与行為自体がなかったことにされます。贈与が無効になれば、渡した財産は相続手続き時に遺贈された財産として相続税の課税対象になってしまいます

贈与契約書を作成し、贈与内容や記録をきちんと残すことで、生前贈与が行われたことを証明できるようになります。
 

【贈与契約書の作成方法】

生前贈与の契約書において必ず記載しなければいけない基本項目は以下のとおりです。

  • ・贈与を行った日付(契約締結日)
  • ・贈与者と受贈者の名前と住所
・贈与された財産の内容

また、

  • ・署名と押印を必ず行う
  • ・受贈者が未成年なら受贈者名と受贈者の親権者名を書く
  • ・押せるなら確定日付を押す

という点も覚えておきましょう。

確定日付とは、その日に文書が存在したことを証明するもので、公証役場で手続きを踏めば押印してもらえます。(一件、700円ほどの手数料がかかります。)

文書の信用度も上がるので、可能な場合は押印してもらいましょう。
 

【注意点】

(1)不動産を贈与する場合は収入印紙が必要

土地や建物などの不動産を贈与する際は200円の収入印紙を貼る必要があります。(印紙代は、契約金額によって金額が異なるので、ケースによっては200円以上の印紙が必要。)

また、不動産に関する情報(土地なら番地・地目・地積、建物なら家屋番号・種類・構造・床面積など)を記載するようにしましょう。

受贈者が複数名となるケースでは、それぞれの持分についても記載します。

(2)署名は自筆する

パソコンで名前まで入力してしまうと、本人以外でも作成可能な契約書になるので信用度は低くなってしまいます。署名は必ず自筆で行いましょう。

(3)定期贈与にならないように注意する

定期贈与とみなされると一括財産とみなされ、金額に応じた贈与税が課せられてしまいます。

  • ・毎年の贈与月日を同じにしない
  • ・可能であれば金額も毎年同じにしない

などの対策が必要です。
 

【相続税対策や相続手続きに関するご相談】

相続税対策や相続手続きについてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。