遺言執行者は誰に任せるべきか【執行者の選任方法等も解説】

遺言書

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

遺言執行者は、遺言者死亡後に遺言内容を実現するための手続きをします。

必ず選任する必要もありませんが、選任しておけば相続手続きの作業がスムーズに進むなどのメリットがあります。

ただし、遺言執行者は誰でも良いというわけではありません。相続における重要な役割を担っているので、しっかりと業務を遂行してくれる人物に任せるべきです

【遺言執行者とは】

遺言執行者には遺言内容を実現する目的があり、預金口座や不動産の名義変更、財産の分配等の手続きをします。

相続の手続きでは相続人数の多さによって戸籍収集や必要書類作成の煩雑さも変わります。また、協力的でない相続人がいれば、うまくいきません。

しかし、遺言執行者は単独での手続きが可能なため、非協力的な相続人がいても、手続きがストップすることもありません。

【遺言執行者の業務】

遺言執行者の主な業務は以下です。

  • ・戸籍等証明書の収集
  • ・相続財産の調査や法定相続人の確認
  • ・財産目録の作成・交付
  • ・法務局での相続登記の申請手続き
  • ・金融機関での口座解約手続き
  • ・株式等の名義変更手続きや換価手続き

遺言執行者は相続人の代理人ではなく、被相続人の代理人として、上記の業務を行います。

なお、遺言執行者には報告義務があります。相続人もしくは受遺者が希望するなら、遺言執行の状況を報告しなければなりません。返答しないと、解任される恐れがあります。

また、相続人に引渡すお金を自分のために消費した際は、消費後の利息も支払わなければなりません。

【執行者になれない人】

下記の方は遺言執行者になれません。

  • ・未成年者
  • ・破産者

未成年は現行法で18歳未満となっています。年齢は遺言者の死亡時(=遺言の効力発生時)で判定します。

遺言書作成の時に未成年であっても、相続開始時に成年になっていれば、遺言執行者に就任可能となります。

破産者は裁判所によって破産手続開始決定を受けている方を指します。自己破産をすると、遺言執行者の資格を失うのではなく、遺言効力発生時に破産手続が終結しているかどうかが問題となります。

【遺言者の選任方法】

遺言執行者を選任する方法は二つです。

一つは遺言者が遺言によって指定する方法、二つ目は相続人が家庭裁判所に申し立てて選任してもらう方法です。

(1)遺言書での指定

これは遺言者が執行者を選ぶ方法です。

遺言書に執行者の名前と住所を書き、「〇〇に遺言の執行を任せる」といった文章を入れておけば良いでしょう。

なお、遺言では予備の執行者を指定することもできます。(予備の執行者は、本来指定されていた方が都合で執行者になれない場合に就任することとなります。)

また、遺言執行者を直接指定するのではなく、選任方法の指定も可能です。

(2)家庭裁判所に申し立てを行う

これは、相続人が遺言執行者を選ぶパターンです。

遺言書で遺言執行者が指定されていない場合、指定された方が遺言執行者を辞退した場合に、家庭裁判所に選任の申し立てができます。

執行者として申立可能なのは、相続人・受遺者・債権者等の利害関係人です。

なお、裁判所を通さずに、相続人で遺言執行者を選任することはできません。

【遺言執行者は誰にすべきか】

遺言執行者には、前述したように未成年や破産者でない限り誰がなっても良いのです。相続人と同一でも問題はありませんし、第三者に任せても大丈夫です。

もし、相続人と顔見知りでない第三者を遺言執行者として指定する場合は、トラブル防止のためにも、未成年・破産者でない事を確認できる書類を持たせるべきでしょう。

破産者かどうかは、本籍地管轄の市区町村役場が発行する身分証明書を見れば明らかになります。

なお、国家資格の士業は未成年者および破産者は登録ができません。そのため、税理士や行政書士等であれば、執行者の欠格要件を自動的にクリアしています。

専門家であれば、執行者の手続き業務もスムーズにこなせるでしょう。執行者になれば、相続人への進捗報告や、相続財産目録作成等、多くの手続きがあるので、慣れている専門家を選ぶのは理に適っています。

【相続についてのお悩みは八王子相続サポートセンターへ】

遺言執行者は相続人や受遺者と同じでも良いですし、遺言者の友人や法人を選んでも構いません。未成年者や破産者でなければ自由に選ぶことができます。

ただし、遺言執行者は遺言者の代理として様々な手続きを行うので、平日時間が取れない方や、慣れていない方を選ぶとデメリットがあります。

よって、専門家の選任も検討しましょう。報酬はかかるものの、知識と経験があるので、業務を素早く終わらせることができます。

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

アバター画像

投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。