こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。
カンヌ映画祭グランプリの「万引き家族」に出演し、これまで数々の映画賞を受賞し、2018年9月に亡くなった名女優の樹木希林さん。
実は樹木さんは芸能界屈指の不動産女王と言われるほど、多くの不動産を保有していたそうです。
そして、私たち税務のプロからみても感心させられる不動産の節税対策を行っているのです。
今回は、樹木希林さんの不動産の相続と贈与についてご説明したいと思います。
【樹木希林さんの節税策のポイントー不動産の相続と贈与―】
樹木さん保有の不動産のうち、空き家状態の戸建て住宅3軒について、樹木さんは事業用の賃貸物件としてこれらを貸し出す方法を選択していました。
これによって、将来に亘って安定した収益が見込まれる道筋を作ったわけですが、実は、事業用不動産として保有することによって相続税を抑えることもまた可能にしました。
これらの戸建て住宅については、実の娘の内田也哉子さんが相続しています。
これに伴い賃貸物件における貸主の地位も也哉子さんが承継することで、これらの戸建て住宅については「貸家建付地」としての20%前後の評価減に加えて「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(小規模宅地等の特例)」が適用されることになるため、相続で受け継いだ200㎡までの事業用の賃貸物件の敷地については、相続税評価額を50%減額することができるようになるのです。
つまり、娘の也哉子さんは、受け継いだ3軒の戸建て住宅敷地に関して、貸家建付地評価減、及び200㎡までの土地の評価を半分にまで軽減することができるようになり、そのうえで賃貸人としての地位を得て、将来に亘る安定した収益の源泉を手にすることができたのです。
【マンションについては生前贈与も】
樹木さんはマンションを3部屋保有していたそうですが、そのうちの1部屋について、也哉子さんの娘で樹木さんの孫に当たる伽羅(きゃら)さんに生前贈与していたそうです。
生前贈与については、贈与時点の不動産評価額で譲り渡すことができるという特徴があるため、将来、その不動産の値上がりが見込まれる場合、相続ではなく生前贈与した方が不動産評価額を低く抑えることが可能になります。
仮に、贈与した後に不動産評価額が上昇したとしても、受贈者である伽羅さんの保有資産の価値が増すため固定資産税と都市計画税が増えることになりますが、これよりも税率の高い相続税や贈与税を追加負担することはありません。
また、生前贈与については、相続と異なり、財産を贈与する相手を選ぶことができるため、これによって後々の相続において、不動産物件の承継で揉めることを事前に回避することができるというメリットもあるのです。
このように、樹木さんは、自分の保有不動産を、我が子や孫のために賢く受け継ぐ方法を採用していたと言えるのです。
【不動産の相続についてのお悩み・ご相談について】
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