被相続人が借金を抱えていた場合はどうすれば良いのか 借金の探し方とは

借金

こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

相続財産には現金・預貯金の他、株式や不動産があります。これらは、遺族である法定相続人に引き継がれます。しかし、被相続人が借金をしていた場合、それらのマイナスの財産も相続しなければなりません
借金が高額で他の財産額よりも多かった場合、その事実を知らずに相続してしまうと、相続後に多大な負担となってしまいます。

よって、相続では故人に借金がないかどうか財産調査をやる過程で早急に調べなければなりません

相続をするかしないかを選択するには期間が決まっているからです。
 

【借金も相続しなければならない】

故人に借金がある場合、他の財産と同様に相続人に権利が移ります。つまり、故人の借金はそれを相続した相続人が代わりにお金を返していかなければなりません。

以下のような借金や負債はすべて相続の対象になるので注意しましょう。

  • ・消費者金融、クレジットカードやカードローンの負債
  • ・事業用のローンや融資残
  • ・個人からの借金
  • ・滞納している家賃や水道光熱費、通信料、スマホ代
  • ・滞納している税金
  • ・連帯保証債務

ただし、以下のものは、故人が亡くなった時点で免除される可能性があります。

  • 住宅ローン…住宅ローンに団信契約が付随している場合、残債を相続人が返済する必要はありません。付随していない場合、相続人が住宅ローンを承継します。
  • 奨学金… 日本学生支援機構(JASSO)の奨学金では返済義務のある本人が死亡した場合、返還が免除される制度があります。免除制度がない奨学金では本人が死亡しても、返済は免除されません。

詳しくは契約内容を確認しましょう。

相続においては遺族に心当たりがなくても、被相続人の負債を調べる必要があります。冒頭でも言いましたが、もし借金額がプラスの財産を上回っていた場合、相続後に大きな負担となるからです。
 

【相続放棄や限定承認を選ぶには期限がある】

借金があるかどうか、その金額がいくらなのかは早急に調べる必要があります。というのも、相続では相続人の財産を引き継ぐかどうかを選択する期間が決まっているからです。

遺産の引き継ぎについては以下の三つの方法があります。

  • ・単純承認…通常の相続財産の他に、債務などのマイナス財産も取得する
  • ・限定承認…プラスの財産の範囲でのみ、マイナスの財産を取得する
  • ・相続放棄…相続人の権利を放棄し、一切の財産を取得しない(生命保険金など一部の財産はケースによって取得可能)

これらを選択できるのは相続の開始を知った時から3ヶ月以内(熟慮期間内)です。

被相続人に借金がある場合は法定相続分に従い相続人間で分割されますが、相続放棄を選択すれば、相続権が亡くなるので、借金を引き継がなくて良くなります。

しかし、熟慮期間を過ぎると自動的に単純承認が成立します。そのため、財産の調査は早めに終えておかなければならないのです。

なお、故人が多方面に債務を抱えており、財産調査が熟慮期間内に終わらない等、相応の理由がある場合は、熟慮期間の日数を延ばすことも可能です。ただし、延長の申述も熟慮期間内に行う必要があるので、注意しましょう。

また、故人の財産を私的に処分する等、一定の事由があれば、たとえ熟慮期間内であっても単純承認となってしまいます。このような事由を法定単純承認事由といいますが、これも相続では注意しなければなりません。
 

【故人の借金の調べ方】

(1)信用情報機関への情報開示請求

消費者金融やクレジットカード、カードローンなどの消費者向けローンなどは信用情報機関へ情報開示の請求をすれば、正確な内容が把握できます。

信用情報機関は、個人ローンやクレジットの利用履歴が登録される専門機関だからです。

利用者がどこからどのくらいの借り入れをしているかを詳細に把握しています。相続人であれば、被相続人の信用情報を取得可能です。

日本に信用情報機関は3つあり、それぞれ請求方法は下記の通りです。

  • ・JICC…請求は郵送もしくはアプリ、窓口申請
  • ・CIC…請求は郵送もしくはインターネット、窓口申請
  • ・KSC…請求は郵送もしくはインターネット申請

信用情報の請求手続を行う場合、以下の書類を用意しておきましょう。相続関係を証明する戸籍謄本類、被相続人の除籍謄本等は他の手続きでも使うので、早めに入手しましょう。

  • ・開示請求の申請書
  • ・相続関係を証明する戸籍謄本類
  • ・被相続人の除籍謄本や住民票除票
  • ・相続関係説明図
  • ・申請者の本人確認書類

(2)自宅内や郵便物を調べる

信用情報機関に加盟していない会社からの借金の場合、自宅内に契約書や借用書、振込証がないか調べましょう。

滞納した場合に自宅へ届いている督促状、内容証明郵便、裁判所からの書類などでも、故人の借金の特定は可能です。

(3)不動産の登記簿謄本の確認

故人が不動産を持っていた場合は登記簿謄本を確認し、不動産に抵当権がついていないか調べましょう。

抵当権などが設定されていた場合には、権利者に連絡の上、債務状況を確認します。
 

【財産調査や相続税申告など、相続手続きでお悩みの方は弊事務所までご相談を】

相続では故人の借金も引き継ぐので、預貯金や不動産だけでなく、借金の有無や金額も調査しなければなりません。

もしも、ご自身での調査が難しいと感じたら、専門家を頼ってください。

時間も限られているので、できる限り早めに相談しましょう。

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。

60余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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投稿者: 古川顕史(公認会計士・税理士)

八王子相続サポートセンター センター長。 公認会計士・税理士。 早稲田大学商学部卒業 あずさ監査法人退社後、古川会計事務所入所。 八王子相続サポートセンター所長 相続税対策(納税予測、資産組替シミュレーション等)立案多数。