【もうすぐ敬老の日】エンディングノートだけでは不十分?税理士が教える遺言書と財産目録の作り方

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敬老の日は親の終活や相続について話し合う良い機会です。しかし、手軽なエンディングノートには法的効力がなく、相続税対策や遺産分割には不十分です。本記事では、税理士の視点から財産目録と遺言書の重要性を具体的に解説します。


こんにちは、八王子・多摩で会計事務所をやっている税理士の古川顕史です。

9月には「敬老の日」がありますね。ご実家に顔を出し、ご両親の長寿を祝うとともに、今後の生活や将来について少し踏み込んだお話をされるご家庭も多いのではないでしょうか。

最近はテレビや雑誌の特集をきっかけに、ご両親が自ら「エンディングノート」を書き始めるケースが増えています。ご自身の情報や家族への想いを整理する素晴らしい第一歩ですが、結論から申し上げますと、相続税の対策や実際の遺産相続の手続きにおいて、エンディングノートだけでは不十分なケースが大半です。

今回は、円満な相続を実現するために欠かせない「遺言書」や「財産目録」の重要性について、税理士の視点から詳しく解説いたします。

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【敬老の日は「終活」の第一歩。エンディングノートの役割とは】

家族への想いや基本情報を残す手軽なツール

エンディングノートは、ご自身の経歴、趣味、医療や介護に関する希望、葬儀の希望、そしてご家族へのメッセージなどを自由に書き留めるためのノートです。書店や文具店で手軽に購入でき、何度でも書き直せるため、心理的なハードルが低いのが大きな魅力です。

親御さんが「何から始めればいいかわからない」という場合、まずはエンディングノートを埋めていくことで、ご自身の現状を見つめ直す良いきっかけになります。ご家族にとっても、いざという時の連絡先や、親の希望を知ることができる貴重な手がかりとなります。

【エンディングノートと遺言書の決定的な違い】

法的効力がないため、遺産分割や相続税対策には不向き

エンディングノートの最大の弱点は「法的な効力が一切ない」という点です。

例えば、ノートの端に「八王子の自宅は長男に譲る」「預金は次男に」と書いてあったとしても、法的な拘束力はありません。亡くなった方の財産を誰が引き継ぐのかを決める「遺産分割協議(法定相続人全員で行う話し合い)」において、ノートの記述はあくまで「故人の希望」として扱われます

もし相続人(民法で定められた財産を引き継ぐ権利のある人)同士の意見が対立した場合、エンディングノートだけでは親族間トラブルを防ぐことはできません。確実にご自身の意思通りに財産を引き継ぐためには、民法で定められた厳格なルールに則って作成する「遺言書(とくに公正証書遺言)」が必須となります。

【円満な相続の鍵は「財産目録」の作成にある】

財産の全体像が見えないと「節税」も「遺産分割」もできない

遺言書を作る前に、あるいはご家族で将来の話し合いをする前に、必ず作成していただきたいのが「財産目録」です。財産目録とは、預貯金、不動産、有価証券、生命保険、さらには借入金などのマイナス財産まで、すべての資産を一覧表にしたものです。

財産の全体像が把握できていないと、そもそも相続税がかかるのか(基礎控除額を超えるか)の判断すらできません。「うちは大した財産がないから」と思い込んでいても、いざ調べてみると基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えており、後から慌てて申告手続きに追われるというケースは珍しくありません

■参考:国税庁 – No.4152 相続税の計算 確認状況

八王子・多摩エリアに多い実家不動産の評価にも直結

八王子や多摩地域には、古くからお住まいの広いご自宅や、アパートなどの不動産を所有されている方が多くいらっしゃいます。不動産の相続税評価額は、現金と違って非常に複雑です。

財産目録を作成し、現状の不動産評価額を正しく算出しておくことで、「小規模宅地等の特例(要件を満たすとご自宅の土地の評価額を最大80%減額できる強力な制度)」が使えるかどうかなど、具体的な節税対策を前もって検討できるようになります

■参考:国税庁 – No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

【専門家と進める確実な生前対策ステップ】

ノートで現状把握→税理士とシミュレーション→遺言書作成

トラブルを未然に防ぐためには、正しい順序で対策を進めることが重要です。

1. 現状の整理:まずはエンディングノートなどで、どこにどんな財産があるのかを書き出す。
2. 専門家による評価とシミュレーション:書き出した情報を元に、税理士が正確な財産目録を作成し、相続税の納税予測を行います。
3. 生前対策の実行と遺言書の作成:シミュレーション結果をもとに、生前贈与の活用などを検討しつつ、税務上も揉めない内容で遺言書(公正証書)を作成します。

「誰にどの財産を渡すか」という分け方一つで、納める相続税の額は何百万円も変わることがあります。税理士の視点を交えずに遺言書を作ってしまうと、かえって税負担が重くなることもあるため注意が必要です。

【まとめ:想いを確実に形にするなら専門家へ相談を】

敬老の日をきっかけに、エンディングノートから一歩踏み込んだ「具体的な相続の準備」を始めてみてはいかがでしょうか。

ご家族の安心を守り、無用な親族間トラブルや税金の払いすぎを防ぐためには、正確な現状把握と事前のシミュレーションが不可欠です。判断に迷う場合は、無理にご自身だけで進めようとせず、速やかに相続の専門家に相談することを強くお勧めします

相続についてのお悩み・ご相談がありましたら、八王子・多摩の古川会計事務所・八王子相続サポートセンターへお気軽にお問い合わせください。70余年の豊富な実績を持つ税理士が親切・丁寧に対応いたします。

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【よくある質問(Q&A)】

Q1:エンディングノートに預金の暗証番号を書いても安全ですか?
A1:紛失や盗難のリスクがあるため、そのまま書き込むのはお勧めしません。金庫に保管するか、口座情報のみを記し、暗証番号は別の安全な場所(または信頼できる家族に直接伝えるなど)で管理するなどの工夫が必要です。

Q2:財産目録は自分で作っても法的に有効ですか?
A2:財産目録自体は誰が作っても問題ありません。ただし、不動産の正確な相続税評価額の算出や、非課税枠の計算などは専門的な知識が必要です。今後の対策に活かすのであれば、税理士にご依頼いただくのが確実です。

Q3:遺言書を作れば、エンディングノートは不要になりますか?
A3:どちらも役割が異なります。遺言書は「財産の分け方」などの法的な手続きを確実に実行するためのもの。エンディングノートは「なぜそのように分けたのか」という想いや、葬儀の希望など法的な枠に収まらない事柄を伝えるためのものとして、併用するのが理想的です。